食べ物と私

食べます。

甘々と本

今日は比較的スムーズに事が進んだ日だった。

午前2時まで起きていた昨日とは違い、時計はまだ10時を指している。

夜の空いた時間は、お楽しみの時間だ。

 

午前中にやることを終わらせたら、一日遊べるのではないかという考えはこの際捨ててしまう。

私だってできることならそうしたいが、いかんせん体がベッドから動こうとしないのだ。

 

おかげで最近はやることをやって眠る日々だ。

ちょっと悲しかったりもする。

 

さあこれからどうしようと考える前に、とりあえず冷蔵庫を開ける。

中から出てきたのはスフレプリン。

もしかしたら前にもブログで書いたことがあるかもしれない。

だってこれは、コンビニスイーツの中でも私が一番好きなものなのだから。

 

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ファミリーマートで数年前から売られているこのスフレプリン。

最初は組み合わせ的にどうなのか、とちょっと疑ってもみたが、一口食べてたちまち虜になってしまった。

 

可愛らしいフォルムにスプーンを入れると、案外しっかりしたスフレの感触。

そのままとろとろ、甘さ控えめのプリンと一緒に食べれば、口の中は一気に贅沢になる。

 

カラメルソースも、真ん中に入っている生クリームも、とにかく全てが絶妙にマッチしていて美味しいのだ。

そして何より、満足感がある。

どっしりと、私の心を満たしてくれるのだ。

 

何もやることがなくなった、幸せな時間。

夜の貴重なひとときである。

 

食べ終わってしまい、さてと立ち上がる。

寒くないよう腰に毛布を巻いて、またパソコンに向かう。

ここからは趣味の時間だ。

 

最近、初めて本を作った。

いわゆる同人誌なのだが、推しを書き続けてそろそろ一年になるため、ちょっとした記念に、と製本に手を出してみたのだ。

 

周りにそういう事情に詳しい人もいなかったため、本当にゼロから自分で模索してのスタートとなったが、どうにかこうにか入稿に成功し、無事に製品が届いたのだ。

 

ちょっとドキドキしながら段ボールを開けたら、素敵な表紙が目に入る。

ちゃんと私の文字が、本になっていた。

 

本を書いてみたいとはずっと思っていたが、まさか最初がこんな形になるとは思っていなかった。

元々二次創作に目覚める予定はなかったのだ。

ひとえに全て推しのせいであり、推しのおかげである。

 

ペラペラとページをめくって少し感動した後、残りの作業に取り掛かる。

あとはこれを販売しなければならないのだ。

 

メルカリすら使ったことのない私がちゃんと梱包して送ることができるのかは甚だ疑問ではあるが、ここまできたのだ。やってみせる。

 

大好きなスイーツを胃におさめたまま、本を世に出すべく、私はまたパソコンに向き合うのだった。

ゼロから挑戦、魔法のシチュー

一日をベッドで過ごしてしまった日の罪悪感はすごい。

と言いつつも最近はそんな日が増えているのだが。

 

今日も今日とてやらなければならないことを後回しにしているうちに、日が沈んでしまった。

しかし今日は買い物に行けただけでも良しとする。

 

思えばスーパーに行ったのも随分久しぶりだったように感じる。

ここ最近は同居人が行ったり、出前で食事を済ませたりすることが多かったから。

 

まだ正月モードの店内放送を聞きつつ、人を避けるようにして買ったのは、牛乳とチーズに、鶏肉、にんじん、玉ねぎ、きのこなどなど。

 

スーパーに行く前から決めていた。

今日の晩御飯は、野菜たっぷりのシチューにしようと。

いかんせん野菜不足だったのだ。

肌の調子がその深刻さを物語っていた。

 

しかし、家に帰ってから重大なミスに気づく。

シチューの素を買い忘れてしまった。

根本的なミスに思わず笑ってしまう。

 

それでもそんな些細な買い忘れごときで私のシチューへの熱は冷めない。

シチューの素がなければ自分で作ればいいのだ。

 

冷蔵庫から死にかけのキャベツとストックしていた方の玉ねぎを救出して、買ったもの達をキッチンに並べる。

 

まずはキャベツ、玉ねぎ、きのこ類を一口代に切って、くたくたのしなしなになるまでバターで炒める。

 

シチューはすぐに無くなってしまうので、今回は普通の鍋でなく、土鍋で調理することにした。

これで何日かは持つはずだ。

 

しなしなになった野菜達に鶏肉を投入し、ある程度色が変わったら火を止めて、小麦粉を適当に入れる。分量は知らない。

そして全体を混ぜ合わせ、小麦粉を野菜と肉に馴染ませる。

 

それから再び火をつけて、牛乳を少しずつ加えていく。

そうするとペースト状のホワイトソースから、徐々にとろみのついたシチューへと、その姿は変わっていく。

シチューの素を使うのも良いが、ゆっくりとシチューになっていく、この過程が私は結構好きだったりもする。

 

そこににんじんと顆粒コンソメ、そしてチーズを好きなだけ入れて煮込めば完成だ。

よそった器には、パセリと胡椒をかけておく。

 

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あったかい出来立てを、スプーンで一口。

とろとろに溶けた野菜と、ぷりぷりの鳥もも肉がじんわりと体を満たしていく。

 

今日はラッキーなことに鳥もも肉が安かったのだ。

鶏むね肉も良いが、やはりたまには少し高い鳥もも肉が恋しくなる。

 

コンソメの風味やチーズと牛乳のまろやかさを感じつつ、ちゃんとしたシチューだ、と、そう思う。

 

一皿で沢山の栄養を摂取出来る、魔法のスープだ。

 

もう一皿おかわりして、スプーンを置く。

土鍋の中の魔法はまだ残っている。

きっと明日も私を楽しませてくれるだろう。

 

 

 

策略的朝ごはん

どうにもやる気が出ない朝。

いや、朝というよりもう昼の時間帯だ。

ともかく私は毛布に丸まっていつもの定位置でうつらうつらとブルーライトを浴びていた。

 

冬になると眠くなるのは万人共通なのだろうか。

少なくとも私は酷く眠くなってしまう。

人間にも実は冬眠が必要なんじゃないかと最近は思っているくらいである。

 

とは言え、寝転んで一日を済ませていいほど暇なわけでもない。

学期末のこの時期、やらなければならないことは結構溜まっているのだ。

 

どうにか布団を跳ね除け、寒さを噛みつつとりあえず洗濯物を回してみる。

これで数十分後、強制的に動かなければならない理由が出来た。

 

そして流れ作業のように、そのまま天板を取り出した。

こういう寒くて動けない日は、簡単な朝ごはんに限るのだ。

 

かなり賞味期限の切れた食パンを一枚、取り出す。

最近は生活リズムがあまりにも合わないため、一人分の朝食を作ることが増えつつある。

 

パサついた食パンの真ん中をぐっと押し、窪みを作る。

その周りをマヨネーズで囲い、白身が溢れないよう、慎重に卵を落とす。

ここで溢れてしまったら後々始末が面倒なのだ。

 

仕上げに、マヨネーズで囲った部分にチーズを乗せ、そのまま天板に乗せ、オーブンへ。

 

目玉焼きを作ることさえ面倒な時の、お手軽カロリーパンである。

一つしかないIHのコンロ。

今日はフライパンに占領されることもないため、お湯を沸かしてみる。

 

スティックコーヒーを溶かせば、見栄えは豪華な手抜き朝食の完成だ。

 

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熱々なので、朝食と共に再生する動画を探しつつ、少しパンが冷めるのを待つ。

最近はナナオさんという、喋る系のYouTuberの方にハマっている。

 

広告を飛ばし終わったら、食パンを一口。

一口目から、ガツンとチーズとマヨネーズの味。どこかグラタンパンのようでもある。

一番熱い卵の黄身を気をつけて食べる。

いつもいい具合に半熟なのだが、だからこそ急いで食べなければ溢れてしまうのだ。

 

ヘーゼルナッツ風味と書かれていたスティックコーヒーも、甘くて美味しい。

 

糖分も脂質もタンパク質もきっちりおさえている。

ある意味スタミナ朝食だ。

 

食べ終わって口元を拭きつつ、また下がりそうになる瞼をこじ開ける。

目を覚まそうと燃料を入れたら、消化活動に勤しんで眠くなってしまうのだから、この体もかなり不便だ。

 

もう一度ベッドに戻ってしまおうかと考えた矢先、ピー、ピー、と電子音が私を呼ぶ。

そういえば洗濯物を回していたんだっけ。

策略は上手くいったらしい。

 

過去の私を少し恨めしげに思いつつ、本来戻るはずだったベッドの上にスマホを投げ捨て、私は洗濯物を回収しに廊下へ出ていくのだった。

 

 

ニセモノ、私のアップルパイ

ある晴れた日、私は冷蔵庫の前で頭を悩ませていた。

原因は中にある真っ赤なりんご二つ。

実家から送られてきたものだった。

 

果物の中でもりんごは好きな方である。間違いなくトップ3には組み込んでくる。

しかしそこは飽き性の私。三つほど食べて、もういいかな、なんて思ってしまったのだ。

大体実家から送られてきたりんごは五つ。

同居人は果物を食べないので、いささか多すぎる量である。

 

りんごはそこまで日持ちも悪くないのだろうが、もう年を越して一週間になる。

そろそろ食べてしまわないと、この子たちを美味しく頂けない気がするのだ。

 

少し首をひねった後、ハッとしてもう一度冷蔵庫を確認する。

そこにあったのは、賞味期限を大幅に過ぎてしまった、しかも開封済みの餃子の皮。

ちょっと悩んでみるが、結局大丈夫だろう、と高を括ってしまう。

 

今日はこの餃子の皮とりんごで、なんちゃってアップルパイを作ろう。

 

二つのりんごを刻みつつ、そう言えば去年はきちんとしたアップルパイを作ったっけ、と思い出す。

りんごが好きなだけあって、アップルパイも好物の部類に入る。

去年はどうしても出来立て熱々のアップルパイに、バニラアイスとシナモンを乗せて、贅沢に一人お茶会を開きたかったのだ。

今回のような処理の手段としてではなく、りんごもきちんとお店で買ったような気がする。

 

森絵都さんの『ラン』でそんなアップルパイを食べる場面があったような気がする。

詳しくはちょっと忘れてしまったが、なんだか不吉なシーンだったような。

 

小説も読まなきゃな、とぼんやり考えながら、刻んだりんご……を鍋に入れる前に、砂糖と水を煮詰めてみる。

かたわらには一口大に切ったりんごが数欠片。

ちょっとの好奇心。りんご飴でも作ってみようとしたのだ。

 

しかし、お菓子作りほど好奇心のみで突っ走っしらないほうがいいものは無い。

水の量が多かったのか、砂糖が少なかったのか。

案の定、りんご飴は水あめをまとったりんごになってしまった。

なんとなくこうなる未来は見えていた。

 

失敗失敗、と気を取り直しつつ、まだ砂糖が残っている鍋に刻んだりんごを入れ、煮詰める。

これで飴のこびりついた鍋を洗う必要は無くなった。

そこに塩を一つまみ、はちみつ、シナモンを加えて味を調える。

りんごの水分がある程度飛んだら、後は餃子の皮で包んでオーブンで焼くだけ。

どこまでも偽物のアップルパイ。私のアップルパイだ。

 

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少し冷ましたほうがいいことは百も承知だが、待ちきれず、熱々のままひとつ口に放り込む。

パリ、とした皮の食感の後、じゅわりとしみ出してくる甘酸っぱいりんご、りんご。

 

はふはふと息を吐きながら、ゆっくりと出来立てを堪能する。

出来合いでも、立派じゃん。

りんご飴の失敗は棚に上げ、私は火傷した舌と共に満足げに残りのアップルパイたちを眺めるのだった。

実家の記憶とシュークリーム

今週のお題「わたしの実家」

 

くたくたになりながら家に帰る。

今年初の出動に体が悲鳴を上げていた。気持ちの方も荒んでくる。

リアルタイムで視聴できなかった推しの曲を聴きつつ、コンビニで買ったキムチ鍋を食べ終え、風呂に入る。

生活する機械のようだと、ぼんやり熱い湯を浴びながら思った。

 

今年は実家に帰っていない。

事情はまあ色々あるが、結局のところ面倒だったから、というのが全てだろう。

 

夏に帰省した時は、ちょっと荒れ模様だった。

特に何か顕著な問題がある家族という訳ではないとは思う。

ちょっと一人ずつ、個性が強いだけだ。もちろん、私も。

だから折り合いが悪いところもある。それだけの話だ。

 

最も、夏に荒れていたのは主に私なのだが。

 

シャワーだけの風呂から上がり、冷蔵庫に待っていたまあるい幸せを手にする。

今日のご褒美、抹茶のシュークリームである。

 

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クリームに気を付けて半分に割ってみると、中から鮮やかな緑色と綺麗な白色のクリームが覗く。

片割れに一口、齧り付いてみれば、ふわりと抹茶が香ってくる。

甘さは控えめで苦みが強い。大人の味、上品な味だ。

 

少しの刺激に大きく反応してしまう体質であると。最近、そう言われた。

何だかそれだけで人生損しているような気がする反面、私はこの体質と二十数年間、何とか付き合い続けてきたのだな、と感慨深い気持ちになる。

 

疲れたら自分と相談して休みを取ることが出来る今の状況とは違って、実家に居た小、中、高校生の頃は毎日、きちんと毎日学校に行っていた。

頼み込めば休ませてくれたのかもしれないが、その元気だって当時の私には無かった。

 

よく覚えているのは、中学校のある朝。

登校前、玄関に座って靴ひもを結び、立ち上がろうとした時。

 

ああ、駄目だ。と、そう思った。

 

体が重くて、玄関の扉が遠くて、今日は無理だ。学校に行けない、と、確信的にそう思った。思っただけで、学校には行ったのだが。

ただ、その時のしかかっていた泣きそうなほどの重圧だけは、酷く強く覚えている。

 

エネルギーが枯渇しているのだ。ずっと。

 

今日、本当に久しぶりにポストの中身を整理したら、実家から年賀状が届いていた。

要は楽しんで頑張れ、とのことだった。

 

私は子どもを産む気が無いので、きっと親の気持ちは一生分からない。

運転することが怖くて、車の免許だって取らないでいようと思っている。

親となったからと言って、子どもの意識が抜けるものでもないのだろうか。分からない。

 

それでも言えることは、私はずっとずっと、子どものままでいるということだ。

 

ほろ苦いシュークリームを食べ終えて、口回りを拭く。

この苦みだって、美味しいと思えるようになったのに。

 

何でだろう。可笑しいね。

大きな活力ミックスグリル

とうとう明日から、また行かなければいけない場所が出来てしまう。

世間は四日から仕事始めの中、意地汚くここまで布団に引っ込んでいたが、ついにそれも終わってしまう。

たった二週間の出動とはいえ、かなり陰鬱な気分になってしまう。

 

午後四時。

とりあえず掃除だけ終わらせてしまい、エアコンの下、ベッドの上、定位置に戻る。

ああ、既に家に帰りたい。布団にもぐりたい。もぐっているけど。

そもそも朝に起きられるかどうかすら今から不安である。

ちなみに今日は学校の夢をみた。

 

嫌すぎて一周回って怒りに変わりかけてきた感情を落ち着かせるべく、同居人に外食を提案してみる。

何だか体に悪い食事が続いているような気がするが、私の場合ストレスと食の質が比例するため、仕方がない。

ストレスの発散方法が食しかないのだ。狭い人間である。

 

無事に同居人の同意も得られ、近くの『ガスト』に乱入する。

優柔不断な私だが、珍しく今日は最初からメニューが決まっていた。

 

同居人とアイパッドで注文。

このアイパッドの注文形式は、うっかり手が滑ってたくさん頼んでしまいそうになる。

回転寿司の感覚に慣れてしまったからだろうか。

今日もどうせ一、二杯しか飲まないにも関わらず、ドリンクバーまで頼んでしまった。

 

ミニッツメイド、100%オレンジを氷なしで飲みながら、注文品が届くのを待つ。

夕方と夜と間の時間。ご老人から二人組の女の子、家族連れなど、様々な人たちでざわめいている空間。

最近よくみているYouTuberの影響か、私はどれだけ明日行きたくないかということを同居人にぐだぐだと語っていた。同居人もいい迷惑だったと思う。

 

そんなことをしているうちに、待ち望んだ鉄板が到着。

ミックスグリル。なかなかのボリュームである。

 

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まずはメインであるハンバーグを一口。

ほろほろと口で解けていくような柔らかいハンバーグ。

ガストのハンバーグは、付け合わせがハッシュドポテト、コーンと枝豆なところもポイントが高い。

鶏肉のソースはトマトが効いていて思いのほか好みの味だった。ウィンナーもパリパリで美味しい。

 

しかし明日のことを思い出し、その合間にも出てしまうため息に、「忘れろ忘れろ」と、チーズの入ったハンバーグを食べながら同居人が言う。少し申し訳ないと思った。

 

それからはもくもくとミックスグリルを打倒すべく、フォークとナイフを動かした。

口の中を美味しいで満たしていく。

 

今だけは明日の怖いことを忘れられるように。

出来るなら、このお肉たちが明日の活力となるように。

 

注文するときは食べ切れるか少し不安だったが、杞憂だったようで丁度腹八分、上手い具合にお腹一杯になった。

 

ありがとうございました、と言う店員さんになあなあい返事をしつつ、私たちはまた寒い帰路を歩くのだった。

むしゃくしゃがっつりジャンクフード

美容院という場所は少し苦手である。

あまり人と触れ合いたくないという私の素質もあるのだろうが、いかんせんやりづらい時間が続く。

 

とは言え一年と少し前にブリーチをして、それからちゃんと手入れもされなかった私の、髪はいい加減傷みまくっていて。

 

今日はバッサリ髪を切り、気分転換ついでにパーマでもかけてしまおうという算段だったのだが。

 

頭が熱されている中、鏡越しに見える女の人が、美容師の人と大きな声で何かを喋っている。声色からして、良くない類の話だった。

どうやら息子の留学について、その学費について話していたようだった。

 

私がどれだけ削ってるんだか、馬鹿馬鹿しい。私に自由はないの?

女の人のそんな言葉に、まあまあと宥めるように美容師は笑った。それが本人のやりたいことなら良いですけどね、と。

しかし。

 

「でもそれ、途中で辞めたら……」

 

そんな美容院の碌でもない質問に、女の人は呆れたように大声で笑った。

 

「そりゃもう、殺してやろうかと思いますよ」

 

そんな言葉を背中で聞きつつ、学生である私はレポートの課題をこなすべく、ただじっとスマホの画面と向き合っていた。

 

熱いのは頭の外側のはずなのに、なぜかジリジリと内側も焼けてくるように熱い。

 

それぞれに事情はあるのだと思う。

女の人にも。その息子さんにも。

それは女の人にしか分からないことでもあり、息子さんにしか分からないことでもある。

 

しかし息子さんに決定権はなく、それが通ったとしてもチャンスは一度きり。失敗は許されない。

たとえ、やってみなければ分からないことであっても。

 

母親を経験したことのない私がこんなことを言っては、鼻で笑われるだけなのかも知れないが、それでも思わずには居られなかった。

 

じゃあ、なぜ。貴方は息子さんを産んだのか、と。

 

少し合わない話を聞いてしまった、と思いつつ、随分軽くなった髪、重くなった胸で帰宅する。

 

そして帰るなり、私は同居人に今日はウーバーイーツにしよう、と提案したのだった。

何だかたくさん食べたい気分だった。

それこそ、何かを壊してしまうほど。

 

数分後、到着したのは新た心におあつらえむきのジャンクな食事。

いつもは頼まないオレオフルーリーなんかもカゴに入れる始末だった。

 

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むしゃくしゃした気持ちを噛み砕くように、バーガーを一口。

ピリリと辛いソース。今の私にはちょうどいい刺激だった。そのままパクパクと無事Mサイズとなったポテトを食べ進めてしまう。

 

こういう食べ方は何となく食べ物に対して申し訳なくなるが、一方でジャンクフードの王道の食べ方のようにも思えて不思議だ。

 

とにかく、ジャンクフードは荒んだ私を許してくれるのだ。

 

ちょっと心が晴れるのを感じつつ、ぎゅるる、と良くない音を鳴らせ始めたお腹に、アイスは明日に残しておこうかな、と考えるのだった。