食べ物と私

食べます。

私だけのお好み焼き

……これ、何だ?

出来上がった瞬間、真っ先に私はそう思った。

 

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冷蔵庫に死にかけたキャベツ。消費せねばと思い立ち、丁度欲も溜まってきたところだったので、お好み焼きを作ろうということになったはいいものの。

 

同じく冷蔵庫の中、見つけてしまったのだ。

こちらも期限が迫っている、絹ごし豆腐を。

 

私の中でお好み焼きとは多分、オタフクソースのことだ。

というのも、私がお好み焼きを欲する時は大体、そのソースを欲している時のような気がするのだ。もしかしたらとん平焼きやたこ焼き、はしまきなんかでもこの欲は満たされてしまうのかもしれない。

 

そんな自身の曖昧さをいいことに、私は今まで様々なものをお好み焼きに入れてきた。いや、どちらかと言うと入れないできた。

私にとって小麦粉と顆粒の和風だしで簡単に作れてしまうお好み焼きは、安くて満足感のある代表的なご飯だったのだ。

 

大学時代、特にお金に困っていた訳ではない。

ただ生活費は親からの仕送りで賄っていたし、学費も払って貰っていた。

咎められることではないのだろうが、全部自分でどうにかしている友達を横目に、少し罪悪感を覚えていたのも事実だった。

 

その結果、お好み焼きに対して私はケチりにケチりまくった。

本当に小麦粉さえあれば個人的にオッケーなのだ。

高い肉は入れられることの方が珍しかった。天かすも家になければ入れない。卵すら入れなかった時も、キャベツの代わりにじゃがいもを使ったこともあった。

ただ小麦粉と水と、何かしら。

それが固まっていて、その上にソースとマヨネーズが掛かっていれば、私にとってそれはお好み焼きなのだろう。

 

まあでも、お好み、焼きだ。これも。

そもそも、既に主要なもので二種類(厳密にはもっとあるのかもしれない)あるこの料理。今更私が新しいものを付け加えたからといって怒る人はいないだろう。

 

そう、これは私の料理。私が、私のためだけに作る料理なのだ。

肩の力を抜いて、自分の脳内の舌と相談しながら作る、言わば己との対話だ。

 

そんな風に言い訳をしつつ、大量のキャベツに対し、明らかに足りなかった生地。

私はその中に絹ごし豆腐をぶち込んだのだった。

 

結局、お好み焼きは不味くなかった。

今回の材料は、卵、小麦粉、水、天かす、キャベツ、豚肉、ネギ、そして絹ごし豆腐。

そこそこ豪華なお好み焼きになったのではないかと個人的には思う。

豆腐の味が強かったが、私の中のお好み焼き判定の範囲内には居た。

 

出鱈目な配分の生地に、本来ここに居ないはずの具材たち。

それでも私の手にかかれば、ちゃんとお好み焼きに仕立て上げられるのだ。

 

ただ、次絹ごし豆腐を入れる時には、生地を減らしても良いかも知れないと。

膨れ過ぎた腹を抱えつつ私はそう思うのだった。