何もない日。私は起きてすぐには朝ごはんを食べない。
先にパソコンに向かい、作業が一段落してからご飯を作るのだ。こちらの方が作業がはかどるような気がする。
最近は初めてのことに挑戦中だ。このブログも挑戦の一種と言えるのかもしれない。
作業の合間の料理は少し頭をスッキリさせてくれるのだ。
そして、一段落。
お腹と相談してみると、今日はスクランブルエッグが食べたいらしかった。
冷蔵庫の牛乳の出番だ。
ぐーるぐーるとフライパンに溶けた卵をかき混ぜながら、とろとろのスクランブルエッグを思い出す。そう、ホテルの朝食だ。
ホテルのスクランブルエッグは、何であんなにも魅惑的なのだろうと思う。
生クリームでも入っているのだろうか、少しもダマになることなく箸じゃ食べることも出来ない、半ば液体のスクランブルエッグ。私はあれが大好きだった。
スクランブルエッグなんか別に家でも作れるのに、必ずビュッフェで取ってしまう。
ホテルの手にかかればスクランブルエッグ「なんか」ではなくなるのだ。
最近は旅行にも行けないから、久しくホテルにも泊まっていない。
そもそも今、ビュッフェスタイルは厳しいのだろうか。
そんな風に他所のスクランブルエッグに想いを馳せつつ、フライパンの火を止めた。
とろとろにはなったとは思うが、やはりホテルのものとは似ても似つかない。
それもそうだ。ホテルのメニューが家で作れてしまってはそれはそれで面白くない。
こんがりと焼けたトーストにとろとろの卵を乗っけていく。
最初の頃はちゃんとお皿によそっていたはずだったのだが、いつ頃からか何でもかんでもトーストに乗っけるようになってしまった。
だって結局一緒に食べるんだもの。
スクランブルエッグは甘い派である。そこに大量のケチャップをかけたい。
欲望のままに朝ごはんを完成させつつ、チーズも混ぜて焼いたら美味しかったかもな、と思ってみたりする。
コーヒーを淹れる気力まで残っていなかったので、カフェインはレッドブルで代用。
ちょっと激しめの朝ごはんだ。
スクランブルエッグが零れないよう、上手くバランスを取りながら食べ進めていく。
こういう類の食べ物は一旦手にしたら食べきるまで皿に置けない。
卵の甘さと、ケッチャプの元気な味。そして卵の緩さで少ししっとりと柔らかくなったトースト。
お腹が、頭が求めていた味だった。
零れないよう格闘するうちに、トーストはあっという間に胃袋に収まってしまった。
美味しかったなと思いながら、もう一度ホテルでの思い出をなぞってみる。
今はきっと難しいのだろうけど、またホテルでスクランブルエッグを食べられる未来が訪れるといいな、と切に思う。