食べ物と私

食べます。

欲望そのままオムライス

今日は一日やる気が起きない日だった。

昨日少し頑張って用事を済ませたからだろうか、ちょっと疲れているのか頭が働かない。

 

幸い予定も入っていないし、まぁゆっくりすればいいと、そう思って夕方までのんびりしていた。

それでも人間、腹は空く。一人暮らし、誰が作ってくれるわけでもない。冷蔵庫に食材はないし、ウーバーイーツをするだけのお金もなかった。

 

しかもトドメのように思ってしまったのだ。「オムライス食べたい!」と。

こうなっては仕方がない。私はこの欲を満たすべくスーパーへ走った。

 

「好きな食べ物は?」と聞かれてスパンと何か答えられる人は、そうそう多くないのではないかと思う。

かくいう私がそうなのだが、嫌いなものもなければ特別好きな食べ物もない。何でも食べられるし、なんでも好きなのだ。

 

ただ、その質問が来た時には何となくオムライスと答えている自分がいる。少なくとも好きな部類の味ではあるのだろう。

 

とは言え店で頼むことは稀だ。理由は簡単、家で作れてしまうから。

もちろんお店のオムライスはめちゃくちゃ美味しいのだろうが、家で食べられるものをわざわざ頼むことを、私はどこか勿体なく感じてしまうのだ。

 

それに、オムライスは結構味付けの分かれる料理だ。

ケチャップライスの中の具材、卵の味付け、半熟度。

結局私好みのオムライスを作れるのは私しかいないのだ。

 

今日は肉でまな板を汚したくなかったので、厚切りのベーコンを買ってきた。

ベーコンの油で玉ねぎを炒める。そこに塩胡椒、ケチャップに、ご飯。

 

フライパンを二度使い回さなければならないことを除けば、オムライスは安くてお手軽ないい料理だ。

 

そして肝心の卵。私は絶対、絶対に甘い派だ。それも半熟とろとろ、バターたっぷりのやつ。

 

欲望のまま、先程のフライパンにバターをたんまりと溶かす。そこへ砂糖と牛乳の入ったとき卵を一気に流し入れ、くるくるとかき混ぜたらすかさず火を止めた。

 

あとは先程のケチャップライスにでろんと乗せれば完成だ。

 

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ちょっと卵がゆるかった気もするが、全く問題ない。

 

あたたかくバターの香る一口を、口いっぱいに掻き込んだ。そしてちょっと笑った。思わず頬が綻んでしまったのだ。

 

なにをこだわって作ったわけでもない。誰でも作れる、一般的なオムライス。

それでも今の私の胃袋を満たすことが出来るのは、この目の前にあるオムライス、ただひとつだった。

 

たまごのとろとろ加減も相まって、すぐに食べ終えてしまう。満足して息を吐く。

 

こうして私の何もしなかった今日は、オムライスを作って食べた日となったのだった。