食べ物と私

食べます。

満足たまごトースト

今日は鳴り響くインターフォンの音から始まった。

飛び起きてオートロックを開き醒めない頭で鏡を確認して、とりあえずパーカーを羽織っておく。

 

数分後、騒々しい台車の音と共になにやら重そうな段ボールが数個運び込まれる。

扉を閉めた後、ため息を吐いた。今日は一日、重労働になることを悟ったのだ。

 

とりあえず口をすすぐ。トースターを予熱、卵を水に放り込み火にかけた。

 

時はさかのぼり、友達の家に泊まりに行った日。

楽しい宴の後、貸してもらったベッドに身を投げた時、私は思わず声を上げた。

 

すごい!ふわふわだ!

 

そんな私にそらそうだろうと、友達は笑った。

実は私、引っ越しの時に面倒でマットレスを捨てて来てしまったのだ。

結果、すのこ剥き出しのベットに来客用の敷布団を敷くという横着を働き、今日までどうにか過ごしてきた。

 

言い訳をすると、私もすぐに買おうと思ってはいたのだ。しかし新学期に急かされるまま、なんだかんだ忙しさを理由にずるずると先延ばしにしてしまった。

加えて、痛くて眠れないなんてこともなかったから、ますます問題意識も薄れてしまい。

 

しかし厚みが20センチはあるマットレスの上で一晩眠り、心底感動したのである。

そして決意した。マットレスを買おう。

 

そしてそのついでとばかりに、私は合わせて本棚と机をネットで購入した。これもマットレスと同様、買わなければと言いつつ目をそらしていたものたちだ。

ここ数ヶ月で出来なかったことをまとめてやってしまおうという魂胆だった。

それらの作戦が今日、一斉にわが家へとやって来たのだった。

 

という訳で、これを食べ終わったら地獄の組み立て作業の始まりなのである。

 

温まったトースターにパンをセットし、出来上がったゆで卵の殻を剥いていく。個人的にゆで卵の殻は、水につけたまま剥くと剝きやすい気がする。

 

裸になった卵をつるんとボウルに滑らせて、マヨネーズ、塩コショウ、マスタード、レモン汁、そしてチーズ。

これらをフォークでぐちゃぐちゃと混ぜ合わせ、焼き上がったトーストに乗っければ、たまごトーストの完成だ。

 

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卵は焼くより茹でた方が満腹感が増すと思う。肉体労働が待つ朝にはもってこいだろう。牛乳までつけてしまえば完璧だ。

 

パセリで彩ったトーストを一口。

久しぶりの卵ペーストはどっしりと、しかしまろやかに私を満たしていく。レモンがアクセントになり、どこかさっぱりとしている。マスタードのぴりりとした優しい辛みも嬉しい。

 

これを食べれば、きっと力は満タン……なはず。

きっとパパっと組み立てられる……はず!

 

「女性一人でも二十分で組み立てられました」なんて商品レビューに淡い希望を抱きつつもその数分後、説明書の「二人での組み立てを推奨します」という文字を確認し、私は軽く絶望するのだった。