明日から忙しい。本当に嫌になってしまう。
スーパーから帰ってきて、そのままどちゃりとキッチンに買ってきたものを置く。
一食分にしては多い量。今からこれらを片付けていく。
にんじん、たまねぎ、しめじ、小松菜。
安かった野菜をとんとんと切ってボウルに放り込んでいく。
料理は切る作業が一番大変だと思う。ここを乗り切って仕舞えば、後は焼くだけ煮るだけなのだ。
最後に切るのは、白菜。
これは安くなかった。四分の一カットで198円。
ただ、レタスやキャベツよりはマシな値段だった。
どうしても葉野菜が食べたい私の苦肉の策である。
白菜を芯と葉っぱに分けて切る。
芯は浅漬けの素と共にポリ袋に入れ、葉は塩もみにして置いておく。
浅漬けの素はこれで無くなってしまった。幾度目かの夏の終わりだ。
野菜の下準備が終わったところで、鶏胸肉と豚バラを切る。
どうしてこんなにも大量に料理をしているのか。
私にも分からない。
作り置きとはいえ、同居人がいるためすぐに無くなってしまうから、いっぺんにこんなことをしても無駄だと言うのに。
そう考えて少し虚しくなるも、すぐに首を振る。
疲れて帰ってきた時、冷蔵庫や冷凍庫に出来上がった何かがあるのとないのでは全く違うのだ。
食べることは、生きること。
明日から戻ってくる忙しない毎日のための、私なりの準備なのかもしれない。
まるで災害準備だ。そして案外その感覚は間違ってはいないのだけど。
バターの溶けたフライパンに、しめじと小松菜ぜんぶと、にんじん、玉ねぎを半分入れ、そこに鶏胸肉を入れる。
火が通ったら小麦粉を投入。
馴染んだら、コンソメと、牛乳をいい感じになるまで入れる。
鶏胸肉のクリーム煮の完成だ。
しかし、これは晩ごはんではない。
お弁当用へカップ、ご飯用へタッパーに入れ、冷凍庫に仕舞う。
そして、今から食べるもの。
軽くフライパンを洗って、先ほど余った野菜ともやし、豚肉を焼く。そこにキムチ、醤油、鶏がらスープの素で味付け。
放置していた白菜の塩揉みに塩昆布とごま油、浅漬けの素を取り出してよそえば完成だ。
副菜が白菜だらけになってしまった、と思った瞬間、キムチにも白菜が入っていたことを思い出した。
白菜だらけの定食だ。
まずは大本命、豚キムチ。
と言ってもキムチが少なかったのか、ほんのりと辛さが分かるだけで、ちょっと味が薄い。副菜の塩昆布白菜の方が味が濃かった。
塩昆布は何でも美味しくしてくれる。
浅漬けもしっかり浸かっている。
材料かたよりまくりの晩ごはん。
それでも食べないよりは、明日きっと頑張れる。
そう思いつつも最後の一口を食べて、軽くため息をつくのだった。