食べ物と私

食べます。

なびいて、チーズオムレツ

朝、起きてどうしようかな、と思う。

秋だからだろうか。最近食欲が本当に尋常じゃない。

 

いつもは朝起きて、少し作業をしてから朝ごはんを作っているのだが、今日はそれも待てない程にお腹が空いていた。

 

とりあえずパンは焼くとして、少し首をひねる。

がっつり食べたいので登場頻度の多い目玉焼きでもいいし、牛乳もあることだし、スクランブルエッグにしてもいいだろう。

 

……いや、なんか違うな。

 

しっくりこない感覚に、あ、と思い出す。

そうだ、チーズオムレツ。私、チーズオムレツが食べたい。

 

たとえば、ぐりとぐらのフライパンカステラ、ルパンのミートソーススパゲティ、ハイジのラクレットチーズ。最近だと、『ODDTAXI』のから揚げだろうか。

 

実はこのアカウント名の由来にもなっているのだが、私は見たものをすぐに食べたくなってしまう。それはもう、本当にすぐ。

 

例に挙げたのはアニメばかりだが、普通にCMでもダメージを受ける。

三ツ矢サイダーのCMなんて、夏が来る度にまんまと引っかかってしまっている。

だから流行りのスイーツがSNSで流れてくるたび、私は身もだえしている。

正直タピオカが流行った時なんて、拷問に近かった。近くにタピオカの店なんて無かったのだ。

 

寝る前に読んだ、とある小説の中に出てきたチーズオムレツ。

きっとそれが今朝の欲の原因だ。

 

とは言え、ホテルで出てくるようなぽわぽわのかわいいオムレツを作れる腕はない。

半熟の卵焼きになることは目に見えているが、まあそこはご愛嬌だ。

そんな言い訳をしつつ、卵液に砂糖、塩、そしてスライスチーズをいれ、適当に焼いていく。

 

今回は違ったが、私の中で飯テロ小説と言えば、橋本紡さんの『九つの、物語』だった。

最近は恥ずかしながらあまり小説も読めていないのだが、私は橋本紡さんの書く物語が好きだ。

特に主人公の女の子たち。

彼女たちの感性は繊細で、独特で、でもどこか身近で。生きている。

 

そして作中にはたくさん料理が出てくるのだ。

『九つの、物語』ではお兄ちゃんが作るあらゆる料理を想像しては苛まれていた。

 

そんなことを思い出しつつ、出来上がったトーストとオムレツもどきを皿に盛る。

見栄えはともかく、完成だ。

 

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トロトロを重視して作ったこともあり、箸やフォークじゃ少し厳しい。

ケチャップをまんべんなく伸ばし、スプーンで一口。

甘い卵と一緒になった、とろけるしょっぱさが口いっぱいに広がる。

食べているのに、溶けていくような、そんな感覚。うん、とっても美味しい。

 

小説の中では二人で食べていたが、さすがにそこまでは求めていない。

積読もたくさんあるけれど、久しぶりに読み終えた本をもう一度読み返してみるのもいいかもな、と、私はすっかり部屋に馴染んだ本棚を眺めるのだった。