食べ物と私

食べます。

朝の音楽とフレンチトースト

満身創痍で眠った翌日。

まだ眠気に重い体をどうにか起こして、ぼんやりと考え、今日はお弁当がいることを思い出す。軽く舌打ち。

 

イヤホンに手を伸ばし、ミックスリストを選択。最近流行り?の『なにやってもうまくいかない』を聴きながらキッチンに立った。

 

私は必ずと言っていいほどイヤホンやヘッドホンで音楽を聴きながら料理を作る。

プロの料理人なら怒り狂ってしまいそうだが、生憎私はプロじゃないし、食べるのも私だ。

 

というか料理に限らず、私は常に音楽を聴いているように思う。

朝、目覚めた瞬間から枕元のイヤホンを耳にする。

再生ボタンが私の起動スイッチと言っても過言ではない。

私にとって音楽は点滴のようなものなのだ。

 

聴くジャンルは何でも。

時々で自分のブームが違うから、割と自由奔放に聴いている方だと思う。

一曲にハマってそれだけを延々とリピートすることもあるが、基本自分の知らない曲も聴いてみたいから、ミックスリストやシャッフル機能をよく使っている。

ちなみに最近はボカロカバーをよく聴いている。紛れもなく推しの影響だ。

 

音楽を耳から脳に流しつつ、黒くなった卵液に食パンを漬ける。弁当のおかずがない時、大体私はフレンチトーストを作る。

卵液が黒いのは、牛乳がなくてコーヒーで代用したからだ。多分そんなまずくならないはず。

 

漬けている間にメイクを済ませてしまう。

メイク中は、ちらちらとMVも見ることが出来るので嬉しい。

MVもろともどっぷり浸かってしまう曲もしばしばあるのだ。

 

無事外面が完成したら、ひたひたになったパンをバターで焼く。

いつもより顔色の悪いパン達に少し笑ってしまう。

 

仕上げに、はちみつナッツをのせるようにかけた。

これは以前の仕送りに入っていた、大量のナッツと祖母からのはちみつを融合させたものだ。

 

完成……だが、ちょっと黒く、想定通り見た目はあんまりよくない。

でもそこはまぁ、林檎がカバーしてくれるだろう。

 

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美味しくなっていることを祈りつつ、諸々の準備を済ませると、出発の十分前だ。

 

今すぐにでも家から出られることを確認し、もう一度机につく。

流れっぱなしだったYouTubeの検索欄から、今度はきちんと曲を選ぶ。

「ながら」ではなく、きちんと画面を見つつ曲を聴くためだ。

 

余裕がある時、家を出る前にこうしてちょっと真剣に音楽を聴くことも、随分前から癖になっている。

 

気分を上げるため、自分を鼓舞するため。

そして、ちょっとの逃避のため。

 

曲が終わって、イヤホンを外す。

デジタル時計は出発時刻を映していた。

お弁当、忘れないように。