最近、上手く出来ない日が多いように思う。
集中力が続かない。思考がふわふわと浮いているような。
何も生み出せないまま、パソコンの前でうねうねと悩んでいる。
良くない兆候だ。
何もできないと軽率に死にたくなる。
元々地に近い自己肯定感なのだ。ゴミに存在する価値はなくとも、存在する権利はあると信じてどうにか今まで生きている。
考えはまとまらないくせに、個の頭は自己批判の声だけをよく拾う。
しかも、そんな時に限って抉ってくるような曲がヘッドホンから流れてきたりする。
やばいやばい、落ちる!
焦るようにとりあえずなにか始めてみる。
何でもいい。ワードを開くだけ、メールをチェックするだけでもいい。
自分が何かした証を残せば、私の中のうるさい声も少しは大人しくなる。
そして心が危うい時、体の方を確認することも案外大事である。
今の私で言えば、腹が減っては戦は出来ぬ、といったところだ。
気晴らしついでにコンビニに行ってみようかと椅子から立ち上がる。
それなりに外へ出ても大丈夫な身なりに整えて、いざ玄関の扉を開ける。
と、昨日発見したレトルトカレーの存在を思い出し、そのまま扉を閉めた。
何がしたかったのやら。判断力すら鈍ってしまっていた。
マスクを外し、賞味期限が切れた二つのレトルトカレーを並べる。
調べてみれば半年前の賞味期限は少し危ういらしいので、もったいないなと思いつつひとつはゴミ箱へ。ごめんなさい。
ただ、もう一つのエビカレーはまだ二か月しか過ぎていなかった。
これ以上放置する前に、消費してしまおう。
冷凍ご飯を解凍している間に、レトルトのパウチを湯煎にかける。
冷凍ご飯は少し悩んだが、一つだけの解凍にしておく。
レトルトカレーは結構量が多いから、出来ればたくさんのごはんと一緒に食べたいのだ。もったいない精神だろうか。
ついでに欲求に従うまま、ウインナーを三つフライパンで転がした。
思いの外お腹が空いていたらしい。
適当に盛り付けて、完成だ。
久しぶりに嗅ぐカレーの匂いだと思った。
レトルトカレーは汁気の多いイメージなのだが、これはそうでもない。少し高かったのだろうか。
何も覚えていない。なにしろ存在すら忘れていたのだ。
やはり多いルーをたっぷりとごはんにからませて、一口。
少しスパイシーで、美味しい。かなり煮込まれたような、どろっとしたルーがどこか懐かしかった。
具は、比較的大きなエビが、二つと、それより大きな肉の塊がひとつ。そして後付けウインナー。
エビは嚙み応えがあって、肉はほろほろで、ウインナーはいつもの味だった。
最後までルーたっぷりのまま、完食してしまう。
棚から牡丹餅のようなレトルトカレーだったが、少し元気になった気がする。
軽くお皿を洗い、ちょっとだけ晴れた視界で、私はまたパソコンに向き合うのだった。