食べ物と私

食べます。

フライング・クラムチャウダー

昨日の夜から、なぜか集中が続く。

ゾーンにでも入ったようだった。

調子がいいときは調子に乗ってしまうに限る。

 

今日こそは、と五千円で買った安くて重たい掃除機を手にとる。

掃除機をかけるのは実に一週間ぶりだろうか。

一昨日くらいにかけようとしていたのだが、ついぞタイミングを逃してしまった。

 

原因は同居人だ。

私は大体九時や十時から動き出す、落ちこぼれ気味の朝型人間だ。

しかし一方で、同居人は朝の五時に就寝する圧倒的な夜型人間だった。

 

寝ている横で掃除機をかけると、言わずもがな起きてしまう。

いや、起こしてしまうことを危惧しているわけじゃない。

正直に言うと、起きて歩きまわり始めてしまうことが嫌なのだ。

掃除機をかけるのだ。邪魔でしょうがない。

 

生活リズムが違うのは本当に深刻な問題であるように思う。

相手はどう思っているのか、私は知らないが。

 

窓を開けようと窓枠に手をかけると、ひんやりとした冷たさが指先に伝わった。

優しくない季節が、もうすぐそこまで来ている。

 

無事掃除を終え、キッチンへ。なんと今日は買い物にも行ってきたのだ。

キャベツが200円未満、レタスが130円。

いつもはどちらかを選んで買うのだが、野菜が食べたかったこともあり、両方買ってしまった。後悔はしてない。

 

キャベツの四分の一を千切りに。もう四分の一は鍋に。

あとは玉ねぎ、にんじん、ジャガイモを刻み、これも鍋に。

塩をまぶし、冷凍のキノコを押し込めて極弱火で煮る。

スープを作る時は野菜自身から出る水分に頼りがちだ。

 

鍋の質量が減ったら、冷凍庫の奥で化石化していたシーフードと牛乳、シチューの素と牛乳、極めつけのチーズを加えて。

シチューを作っていたつもりが、クラムチャウダーの完成だ。

嘘。その二つの違いは正直分かっていない。

 

まだ時刻は午後五時。

夕飯にはまだ早く、それでもかなりお腹が空いてしまった。

というわけで、スープを一杯、フライング。

 

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白くかわいいとろとろを一口。

 

「うまっ」

 

と、思わずそんな声が出た。一人なのに。

シーフードを入れたのが良かったのだろう、少しなのに海鮮の出汁がよく効いている。

にんじんもじゃがいもも少し固い、私好みの触感。

曖昧なのは名前だけ。満点の味だ。

 

ある程度満たされて、ぼんやりと時計を見る。

夕飯は少し遅くてもいいかな、なんて思いつつ、そう言えば同居人に一緒のタイミングで食べようと誘われていたのだった、と思い出す。

 

待たせると悪いかな。うーん、でも。

どうせ生活リズムは違うのだ。

私は私のペースできっと、問題ない。

 

自己完結しながら、開けっ放しだった窓を閉めに立つ。

冷たさと静けさ、清らかさは何となく似ている。

 

ちょっと寒い部屋。

何かが綺麗になったような錯覚に陥りつつ、私は窓を閉めたのだった。