食べ物と私

食べます。

何も知らずに卵とトースト

「我慢は大事」。

あらゆる場面で結構そう思われているように感じる。

しかし、我慢が大事かそうでないかは、めちゃくちゃ時と場合によると私は思う。

というか、吟味していけば必要な我慢の方が少ないような。

我慢なんて、お菓子が焼き上がるのを待つ間だけできっと十分だ。

 

つまり、私は寒さに負け、暖房を入れた。

 

寒くて動けなくなって効率が下がるのなら、と押したボタンだったが、部屋が暖かくなる前に異変が起きた。

黒い灰のようなものが降ってくるのだ。

 

少し中を覗いてみると、何か黒い汚れ。

しかもエアコンはベッドの上に設置されている。最悪だ。

慌てて電源を切る。どうやら暖まるためにはまず掃除が必要なようだ。

 

そして、ベッドには明け方に寝付いたであろう、同居人。

盛大にため息をつき、私はたベッドから抜け出てキッチンに立った。

 

とりあえず食べて体を温めよう。

そう思い、冷蔵庫に残っていたハムを取り出そうとして、手が止まる。

まさかと、ゴミ箱を覗いてみれば、当たり。ハムのゴミが捨てられていた。

起きてすぐだというのに、私は二度目のため息を吐いた。

 

例えば冷蔵庫のハムの存在には気が付くのに、冷蔵ごはんが残り少ないことには気づかない。

お皿は洗うのに、コーヒーポットまでは洗わない。

ベットに入る時に靴下は脱ぐのに、洗濯かごには入れない。

 

ちょっと違う感じ。なんとなく、やなかんじ。

牛乳の消費期限が近いことだって、きっと同居人は知らないのだ。

 

残り二つだった卵を割り、牛乳、砂糖にちょっとの塩を合わせて混ぜる。

オリーブオイルをひいたフライパンに卵液を流し入れて、ぐるぐると火を通す。

トーストにはチーズをのせて、ちょっと乱暴に。

最後にたっぷりケチャップをかければ、踏んだり蹴ったりな朝の完成だ。

 

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大きく一口かぶり付けば、チーズのしおっけ。

もうふた口食べ進めて、ようやく卵に到達。とろとろ甘い卵に、元気な酸っぱさ、ケチャップがよく合っている。

 

何も知らずに夢の中。

朝ごはんが用意されていていいなと思う。

エアコンの劣悪な環境に気付かなくていいなと思う。

 

どうにも共有が下手な私。多分そもそもが同居に向いていないのだ。

 

それでも私は性懲りもなく今日も二人分の朝ごはんを作り、きっと同居人が起きる夕方ごろ、エアコンの掃除を始めるのだろう。

買い物に一緒に行きたいと言っていたが、きっとそれも私が行くのだ。

 

一人の体で、二人分。

なんだ。私はなかなかに頑張っているのではないだろうか。

そう考えると、自己肯定感をあげるためにこの生活は役立っているのかもしれない。

 

……なわけないか。

 

ちょっと笑えて、かさつく唇をティッシュで拭った。