食べ物と私

食べます。

真夜中にシュークリーム

小さなころ、夕食後には必ずデザートがついてきていた。

大概はフルーツ。お菓子だったり、スイーツだったり、とりあえず甘味系が多かったように思う。

あの頃はそれが普通だったが、今考えれば随分と贅沢な話だ。

 

そしてあの食生活で太らない母はやせ体質なのだろうと、今になってそう思う。

何はともあれ、その名残なのか、私は食後はお得意の甘いものがないと落ち着かない体になってしまった。

 

そしてそれは真夜中であっても例外ではなく。

 

作業がひと段落して、お腹というより脳がムズムズしてくる感覚。

現金な体が、頑張ったご褒美を欲していた。

机の上のデジタル時計はもうとっくに0時過ぎをさしている。

それでも構わず私は禁断の冷蔵庫を開け、まるっこくてかわいいあいつを取り出した。

 

コンビニで買ったシュークリーム。ローソンだっただろうか。

 

シュークリームをよく食べるようになったのは、大学生、一人暮らしを始めてからだったと思う。

別に嗜好が変わったとか、そういう話ではない。単にその安さに気が付いてしまったのだ。

スーパーなんかでは60円で売られていたことすらあった。

その代わり、家にあったキットカットやらのお菓子は意外と値が張ることを知って。

 

そこからは甘いものが食べたくなったら、シュークリームを買うようになっていた。

他には焼きプリンやアイスも買っていただろうか。

100円以下の魅力はでかい。

潰れないように封を開けて、中身を取り出す。

 

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これはコンビニで二番目くらいに安いシュークリームだ。30円分、食べる前から見た目が可愛い。

が、問答無用で歯を立てる。

 

もちっとした生地に、表面のほろほろとしたクッキー。見た目通りの柔らかいシュークリームだ。

そして中には溢れんばかりのカスタードクリーム。私が求めていたものだ。

溢れそうになって、クリームだけを食べてバランスを取る。

 

コンビニスイーツは手軽で優しい。

もちろん、ケーキ屋さんやシュークリーム屋さんにあるような、ザックザクな生地が乗ったシュークリームが食べたい時もある。

しかし、やはりそういうシュークリームを食べる時はそれ相応の心構えが必要なのだ。

 

深夜、作業の合間。

ゆったりと時間が流れているような、そんな感覚。

ちょっと何も考えられない脳には、底辺過ぎず、気取りすぎてない、これくらいのシュークリームが丁度いいのかもしれない。

 

濃厚なクリームを食べ終わり、そっと一息つく。

すぐに歯磨きをするにはちょっと惜しいから、あと少しくつろいでからベッドに戻るとしよう。