食べ物と私

食べます。

のっぺりしょっぱい卵焼き

明日は何も予定がない、そんな楽園のような夜。

久しぶりに飲んでしまおうと思い立つ。

 

冷蔵庫をのぞくとビール、レモンチューハイ、9%のハイボール

 

手っ取り早く酔っ払いたかったので、とりあえずハイボールを手にする。

もしそれで足りなければ二本目に手を伸ばせばいい。

 

続けて横の卵たち、そしてその消費期限が目に入る。

残る卵は四つ、記された日付は今日まで。

ちょっと考えて、二つ卵を攫って行く。あとの二つは明日でも、きっと火を通せば問題ないだろう。

 

フライパンでごま油を温め、卵を二つ、ボウルに割りいれる。

 

卵焼き、あまいかしょっぱいか問題。

こういうのは、家庭がどっち派だったかで決まってくるようにも思う。

ちなみに、私は性懲りもなくどちらも好きである。

 

というのも、私の家ではお弁当に入っているのは甘い卵焼き、食卓に並ぶのはだし巻き卵だったのだ。

母曰く、お弁当には甘いものが欲しくなるとのこと。これ、前にも書いただろうか。

 

それはともかく、今欲しているのはお酒のお供だ。

 

ボウルに少しの砂糖、そしてめんつゆを加える。

適当な塩梅だが、めんつゆで味つけすると大抵の食べ物は美味しくなるのだ。

 

あとは適当に、卵をまくだけ。

そう言えば私の家には四角いフライパンがない。

食用ナイフすらめんどくさがって買わない私だ。わざわざ卵焼きのためだけに四角いフライパンを買うはずもなかった。

 

というかそもそも、私の実家にも四角いフライパンはなかった。

あれがある家は几帳面な家だけなんだろうな、なんて思っていたのだ。

 

しかし、大学の頃、毎日弁当を持ってきている私に対して、友達が「うちは四角いフライパンがないから卵焼き作れない」と言ってきたのだ。

ここで初めて四角いフライパンは割とスタンダードであることに気が付いた。

 

そんな常識を知らぬまま、いつの間にか身に付けていた丸いフライパンで卵を焼く技術。

とはいえ食べるのは私なので、また適当に、くるくる、くるくる。

 

切ることすら面倒な、のっぺりとした卵焼きの出来上がりである。

 

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お酒を開けて、卵焼きに箸を入れる。

ふわふわの卵と、馴染んだ出汁の味。奥にほんのり感じる甘さが、どこか私をほっとさせてくれる。

促されるようにハイボールを開け、喉に流し込む。

合うかどうかはさておき、卵焼きもハイボールも美味しい。

紛れもなく至福の時間だ。

 

片手でスマホを開き、気になる文章を探りつつ、お酒と卵焼きを減らしてく。

片付けなくていいように紙皿と割りばしで食べ始めたのは、さすが私というところか。

 

少しアルコールが回り、既にいろいろとめんどくさくなってきた頭。

なんだか楽しくて、一人、鼻歌を歌ってみたりした。