食べ物と私

食べます。

どたばたレタス・サンドイッチ

備えることが多くなった最近。

夕ご飯の後、お腹いっぱいの状態で、私はパンにマーガリンを塗っていた。

明日の朝がばたつくことは分かっているのだ。

そんな憂鬱な負担を少しでも減らすため、私は今からサンドイッチを作る。

 

結構前に購入したレタスを千切っていく。

どういう育ち方をしたのか、まるで真ん中を守る様に、葉っぱ同士が非常に入り組んだ子だ。

そんな守りの姿勢を一枚一枚ひっぺ返し、軽く水にさらしてざるへとあげていく。

 

と、ある葉っぱになんだか違和感を覚える。

不自然に空いた小さな穴、黒い汚れ。

 

あ、と思って視線を走らせると、案の定、シンクには一センチにも満たない芋虫が転がっていた。

ひっ、と声にならない声を上げる。

 

多分そんな重度ではないにしろ、私は虫が苦手だ。

幼い頃農家をやっている祖母に、畑でコオロギを投げつけられたことを思い出す。全くタチが悪い。

虫たちが私達を攻撃してこないことは知っているのだが、苦手なものは仕方がない。

 

そういえば実家にいる時、妹と同じくレタスに蔓延っていた油虫をどうにか追い払おうと、何十分もキッチンで格闘していた記憶がある。

虫がいる野菜は美味しい証、とは聞くし、その理屈も分からないではない。

分からないではないが、飲み込めるかはまた別の問題なのだ。

 

結局、早急に汚れていたレタスでシンクの小さな芋虫を摘まみ、生ごみの袋に放り込む。

これでとりあえず一安心である。あとは残りのレタスたちだ。

 

普段は適当にざるに上げた葉っぱたちを、まとめて水であらったりするのだが、今日ばかりはそうもいかない。

一枚一枚、丁寧に点検していく。

悪戯に丸まった葉っぱだって、真っすぐにして、全部を暴いていくように。

 

そうやって躍起になる自分が居る中で、あの芋虫は、四方を大好物に囲まれた空間で一週間以上は暮らしていたか、と考える自分が居た。

正直ちょっとうらやましい。さぞ快適な空間だったであろう。

まあ、それも、私がぶち壊してしてしまったわけだが。

 

そう考えると、少し申し訳ないような気もする。

小さな芋虫にも、「あらあらかわいいわね」なんて言えて、物おじしない人になれたら、きっと私も少しだけ素敵になれるのだろう。

 

そんなこんなで完成、どたばたレタスのサンドイッチだ。

 

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一晩寝かせて、次の日の朝、しゃくりというレタスの触感に、昨日の芋虫の存在を思い出す。

全く持って最悪のタイミングだが、あれだけ洗ったんだから大丈夫、と謎に言い聞かせつつ、空腹には抗わない。

 

玄関には口を二重に縛ったゴミ袋。

出しに行くの、絶対に忘れないでね。