寒い。とにかく寒い。
休日の午後四時。また中途半端な時間に寒さで動けなくなってしまう。
上半身の冷えはいいのだ。
着込んだり、暖房を上げてしまえばどうにでもなる。
しかし、この日は特に足先が駄目だった。
ちゃんと靴下も履いてはいるのだが、もはや石を暖めているようなものだ。
ちっとも暖かくならない。
そんな冷たい足じゃどこにも動かなくて、とりあえず布団にくるまってみるも、寒い。
コンビニの支払い期限、いつまでだっけ。
あー、冷蔵庫、もう空っぽなのに。
そんなことを考えつつ、どうにも今日は外に出られそうにはなかった。
とはいえ、そのままでいるわけにもいかないので、布団の中で少し決意。
よし、何か作ろう。そして食べよう。
動けない私がそれでも腰を上げるのは、唯一食のためだけなのだ。
冷たい足で冷たいキッチンに立つ。
頭だって上手く回らないから、ろくに測りもせず、適当に小麦粉、ベーキングパウダー、卵と牛乳、控えめに砂糖を混ぜ合わせる。
フライパンを温めている間にもう一つの卵の行く末を考える。
目玉焼きもいい。うーん、でも目玉焼きならベーコンが欲しい。ベーコンはない。
じゃあ、スクランブルエッグだ。
フライパンがいい感じになったところで、先程作った生地を流し入れる。
市販のものに頼らない、私特性即席生地はいつも少しゆるい。
ホットケーキミックスの偉大さを知る。
それでもまぁ何とか焼けた生地を皿に盛り、その上にぽい、と、スライスチーズを乗せておく。
次にそのままのフライパンで、凍っていたウィンナー2本と、スクランブルエッグを適当に作る。
出来立てのスクランブルエッグをスライスチーズの上に、その横にウィンナー。
そして残り半分のパンケーキには、ナッツのはちみつをかければ完成だ。
なんだか豪勢な、アメリカンスタイルになってしまった。
早速おかず側から一口。
思った通り、甘さ控えめのパンケーキに、甘いふわふわ卵、しょっぱいチーズ、そして甘酸っぱいケチャップがよく合っている。
ウィンナーは皮なしでしっかりしたものではないが、おもちゃみたいな味で美味しい。
甘いとろとろのはちみつだって、パンケーキに合うことは言うまでもない。
端から端まで美味しい、夢のパンケーキプレートだ。
食べ終わり、足先の冷たさが和らいでいることに気がつく。
足だけでなく、体も大分動くようになったような。
カロリーは熱量と表されるだけある。
はちみつの蓋が硬くて苦戦したから、そこでも体はあったまったのかもしれない。
何はともあれ、どうやら動けるようにはなったようだ。
しかし、今度はお腹いっぱいだ。
動きたいかと言われると、そうではない。
さて、これからどうしようと、満腹のまま滑稽にも頭を悩ませるのであった。