寒くなると動物は冬眠という手があるが、人間はそうもいかない。
しかし、本能からだろうか、眠気自体は冬の方が格段に強い気がする。
ここ数日、昼寝に悩まされていた。
睡魔がやってくるのは大体午後三時から五時の間。
それから気づいたら七時、ひどい時には九時になっていることもザラだった。
特に何かに支障が出ているわけではないのだが、単純にもったいない。
というわけで今日は昼寝を打開すべく、何かをしようという結論に至った。
そしてその何か、は、スーパーで安売りされていた白ネギとキャベツのおかげで決定した。
そう、私は午後から餃子を包むのだ。
微塵切りして塩揉みしたキャベツの水をよく切って、白ネギとニンニク、生姜チューブ、豚ひき肉と混ぜ合わせる。
そのボウルをリビングに持っていき、いざ作業開始だ。
いつぞやか作ったことを思い出しつつ、今回はえいやーと思い切って100枚買った皮。
黙々とヒダを作って包んでいく。
餃子は切る、こねる、包む、焼くのたくさんの過程があるから子どもが喜ぶと、どこかの漫画に書いてあった気がする(もしかしたらハンバーグだったかもしれない)。
その他にも思い出すのはドラマ『SPEC』。
毎回大量の餃子を美味しそうにかっくらうものだから、こっちまでお腹が空いてしまう。
包む作業なら漫画『かくしごと』を思い出す。
今の私とは少々状況は異なるが、餃子包みは確かにピンチの時にこそやりたくなる作業なのかもしれない。
ちまちま、ちまちま。
個人的に手間と時間、あと悔しいことに美味しさを考えると冷凍食品の餃子が圧勝だ。
それでも「市販の買えば良かったー!」とはならない。
なぜなら今私は餃子を食べたいのではなく、作りたいのだ。餃子を包むことは楽しいから。
音楽を聴きながら、ちょっと不恰好になったり、破れてしまったり。
結局60個ほどでタネがなくなってしまったが、十分だろう。
お皿に入りきらないものはジップロックに入れ冷凍してしまい、残りを焼いていく。
しばらく市販の餃子に頼っていたツケだろうか、焼き方がよく分からない。
なので、焼いたのか蒸したのか曖昧なまま、とりあえず火を通し、餃子にとって冒涜的な盛り方をしていく。
悪いな、けど味はきっと大丈夫だから。
焼く前の方が美味しそうに見えるのは間違いなく私のせいである。
それから酢醤油と酢コショウ、二つのタレを作り、いざ、実食。
果たして、焼き方はあながち間違っていなかったようだ。
程よくパリパリとした部分が混ざり、タネも野菜多めでシャキシャキと上出来。もちろん、肉らしさも感じられる。
酢とコショウで食べると美味しいと、誰かが言っていたが、個人的には酢醤油が優勝していた。
たくさんの幸せを味わったところで、冷凍庫にはまだ二、三十個ほどの餃子たちが控えている。
焼くもよし、水餃子にするもよし。
きっと未来の私が、喜んでいる。