朝起きて、寒さに痛む腰を庇う。
今週は忙しいのに、不便で仕方ない。
やはり胃の調子は悪いまま。
やる気と食欲、両方ない朝。
とはいえ、こうなることは分かっていたので、今日はとっておきの秘策があった。
エアコンをつけ、部屋が温まるまでモゾモゾと布団の中で動いている。最近の習慣だ。
大方大丈夫になってから、顔を洗ってゆっくりと席につく。
今日の私はこれだけでもう朝食を取ることができるのだ。
セブンイレブンのスティックメロンパン。
私は小さい頃からこの類のパンが大好きだった。
今回はメロンパンを選んだが、チョコチップやプレーンなど、細長い六本入りのパン。
素朴な味もさることながら、六本とちょっとお得感があること、好きな量だけ食べて取っておけることが個人的にとても好きだったのだ。
そして食欲のない今は、取っておけることが役に立つ。
のろのろと一口、メロンパンを口にする。
なんてことはない、しっとりと甘い、普通のメロンパンだ。時折入っているチョコチップが嬉しい。
最近はアボカドトーストとか食べてないなぁ、と脳内で浮気をしつつ、二本で袋を閉じてしまう。
正直、朝ごはんを作る気力もそんなに無いのだが、とびっきりのトーストでも作ってみれば、この食欲も変わったりするのだろうか。
それでも今はこれだけでお腹がいっぱいだった。
そういえば妹はこの類のパンが嫌いだったな、とふと、思い出す。
なにやら部活をやっていた際、手づかみで母親達から分け与えられたらしく、それが気に入らなかったらしい。妹の潔癖なところだ。
私はどちらかというと、持っていたもの全て食べてしまえることに感動すら覚えていたのだが。
たとえばモナカ。コーンアイス、そしてパン。
もちろん袋は別の話だが、それを抜きにすると、手に持って食べていたはずなのに、食べ終わってしまえばその形跡は一切残らない。
まるでお皿まで胃の中に仕舞われてしまったような感覚。最後まできちんと食べ切った感覚。
あったもの全てが跡形もなく全部なくなる、という現象が、私には何となくしっくりきていた。
だから例え食べにくくとも、アイスはコーンに惹かれてしまうのかもしれない。
そんなことを考えつつも残してしまったメロンパンを付属の袋止めシールでしまい、お弁当袋の中に入れる。
このうち何本食べられるのかは分からないが、これは引き続き今日の昼ごはんにもなるのだ。
朝食に引き続き、お弁当を作る手間も省けてしまい、少し手持ち無沙汰になってしまった朝。
少しぼんやりとしつつも、私はカーテンを開け、きちんとこの目で朝陽を確認するのだった。