ゆったりとした午後。
掃除に洗濯に、思いの外やりたいことが出来て、少し満足している。
本当はお菓子なんか作れる気力があれば、もっと素敵なのだろうけど、そうそう上手くはいかない。
けれど私にしては上出来な方だ。
掃除を終え、今の巣であるエアコンの真下にあるベッドで丸まっていると、ぐぅ、と、腹の虫が鳴る。
そういえばまたろくに何も食べていなかった。
おまけに今日は同居人もいない。
少し考えてから、冷蔵庫を開く。
最近は中身すら把握しておらず、いつもの間にか卵が消えていたことに気づいたのもその時だった。
確か賞味期限切れの卵が三つくらいあった気がしたのだが、おそらく同居人が食べてくれたのだろう。
オムレツをつくってやろうかと思ったのだが、仕方ない。
ここは、とキャベツを半玉取り出す。
作戦変更。最近不足がちだった野菜をたくさん摂ってやろう。
キャベツをざく切りにし、ぎゅぎゅっと抑えながらまるまる鍋に放り込む。そして塩。
それだけで小さな鍋は満杯になってしまう。
しかし、まだ終わらない。
使えそうだった玉ねぎをねじ込み、弱火にかけて放置。
またベッドの定位置に戻ってスマホをいじる。
料理中はYouTubeで音楽を流すことが多く、Twitterを開いてしまうと音楽が止まってしまうのが悲しい。
プレミアムにはいろうかな、と考えつつそんなお金の余裕はないのだが。
そうこうしているうちに鍋のかさが減り、水分が出てくる。
ここに凍らせていた大根と、エリンギ、エノキを投入。
少しだけ水を加えて、鍋キューブを入れたら、野菜たっぷり、鍋スープの完成だ。
なんせキャベツ半玉がまるまる入っているのだ。きっと一杯で摂れる野菜の量も尋常じゃないだろう。
旨味や栄養が圧縮された感じがある。私がスープを好む理由だ。
何となく胃の調子もいい。
これだけではどうにもお腹が空きそうだったので、いつぞやが作った味の薄い炊き込みご飯を解凍しておく。
ちょっと質素な、それでも優しいご飯の完成だ。
まずはスープを一口。
生姜でも入れれば良かったかな、なんて思ってみるが、大丈夫。十分に温かい。
冷凍のおかげか、なぜか大根に味が染みていて美味しかった。もちろん、くたくたになったキャベツも。
炊き込みご飯も味は薄いが、美味しい。
やわらかい晩御飯だと思う。とても些細な。
それでも野菜を切ることが出来て、煮ることが出来て、食べることが出来て。
今日はきっと、よく出来た、いい日だったに違いない。
少し眠い目を擦りながら、私は満足げに欠伸をするのだった。