「24日、会えない?」
そんな友達の誘いから、のこのこのと数駅先に足を運ぶ。
友達にも私にも、もっとクリスマスを共に過ごすべき人がいるというのに、おかしな話だ。
しかし、私も、多分友達も、そんなことは一切気にしていなかった。
少し強まった雨の中、小さな駅で友達と合流。
短くなった髪が似合っていた。
そのままジュースとお寿司を買って、友達の家にお邪魔する。
今日はある目的があって私はここに集まったのだ。
近況報告をしながら安いお寿司を食べ終えてしまい、ある箱を持ってくる。
先日友達が入手した大きなお菓子。
子どもの頃、誰もが夢見たお菓子の家だ。
そう、私は今日これを作るために呼ばれたのだ。
どちらが言い始めたらのかは正直憶えていない。
クリスマスだからやろう、という話でもなく、ただ「お菓子の家を作りたい」という欲求に二人が頷いたのだった。
箱を開けると、ウエハースやらクッキーやらのお菓子に、板チョコが三枚。
この時点で完成したとて食べきれないことは確定してしまった。
だが、ここで折れる私達ではない。
聖なる夜、チキンやケーキを食べるでもなく、成人女性二人。私たちは必死になってチョコを溶かしていた。
どうやら四方の壁はクッキーではなくチョコで作るらしい。
元々要領の悪い私達。
四苦八苦しながら型にチョコを流し入れていく。
絶対に見本通りにできる気がしないと話しつつ、冬の気温に、溶かしても溶かしても固まるチョコと格闘する。
いつだって上手くいかないのが私達なのだ。
なんとか型にチョコを入れ終わったら、ウエハースを数枚ひっつけて屋根を作る。
まっすぐいくわけもなく、少しひん曲がった。
あとは全部を合体させるだけなのだが、これもかなり難しい。
どうにかこうにかチョコを型から剥ぎ取り、壁を完成させる。
建っただけで上出来だと言いつつ、チョコを糊にして屋根をくっつける。
隙間だらけのとんだ欠陥住宅だ。
そして残った長細いクッキー。
お好みで飾り付ければ良いらしいが、私達にとってそれが一番困るのだ。
やんややんやと喚きながら、手やテーブルをチョコまみれにして、どうにもならないクッキーをどうにかしてくっ付ける。
最後にハリボーを並べれば、何とか家の完成だ。
なんともみずぼらしい、それでも一応家として成り立っている様が余計に面白くて、ケラケラ笑いながら写真を撮る。
こんなことで笑えるのも、そもそもそこんなことをしようと思えるのも、きっとこの友人とだからで。
変なメリークリスマス。
それでも私達は小さな部屋で、確かに楽しんでいた。
しかし、想像はつくかもしれないが、お菓子の家が楽しいのはここまでだ。
無理しないよう食べ進めるも、翌日には半壊した家がまだ机の上に鎮座しているのだった。