食べ物と私

食べます。

眠りの果実

 

最近酷く眠い。

それはもう冬眠じゃないかというレベルで寝ている。

 

今日から幸い一週間、何もない日が続く。

だからと言ってやらなければならないことはあるのだが、いかんせん体が動かない。

 

昨日も帰宅してから五時間眠り、どうにか風呂にだけ入って午前二時に就寝。

そして今日。目が覚めたのが午後二時だ。

さらにかろうじて洗濯だけ済ませ、六時まで昼寝をしていた。

 

ここまできたらもういっそ昼夜逆転してくれたらいいものの、そういうわけでもなく、夜もきちんと眠れてしまうのだ。

ただただ眠気に活力が吸い取られていく。

三代欲求の九割が睡眠に乗っ取られたような気分だ。

 

そんなわけで、食欲もあまりわかない。

当たり前だ。お腹が減るようなことをしていないのだから。

今日も今日とてベッドの上で、あくびを漏らしたまま何とかこれを書いている状態だ。

 

適当な動画を見て、時々ゲームを走りつつ、しぱしぱと目を瞬く。

せっかくブルーライトを50%カットしてくれる眼鏡を買ったのに、寝っ転がってしまうからつけられない。

 

別の惑星に行くには体が重すぎる、なんて星の王子さまのセリフが場違いに浮かんだ。

パソコンの前に立つには、この体は重すぎる。

 

それでもどうにか冷蔵庫に這い寄り、ドアを開ける。

 

最近はトーストだってろくに食べていない。

食べることは生きることだ。

だから気力が湧かないのかもしれない。

 

そんな風に言い聞かせつつ、赤い果実、りんごをつかむ。

これも先日の仕送りで送られてきたものだ。それも五つも。

品種は何も言われていないが、きっと私の好きなサンふじのリンゴだろう。

 

一つは無理そうなので、とりあえず半分に切り込みを入れる。

残り半分は、昼夜逆転中の同居人がどうにかしてくれるだろう。

 

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そのままろくに皮も剥かず、齧り付く。

シャクリ、とした硬めの食感から、じゅわと酸味の効いた果実の汁が溢れてくる。

リンゴは好きな果実の中でもトップの方に入ってくる。

だから、そのままの形、できれば皮ごと食べてしまいたいのだ。

もちろん、皮を剥くのが面倒だと思ってもいるが。

 

神秘の果実。魔法の果実。

 

食べている最中から白雪姫が頭をよぎり、眠ってしまうのはこのりんごのせいなのではないか、なんてお伽話チックなことを考えてみる。

そんなはずはないのだが。

 

残りの半分にラップをかけて冷蔵庫に放り込み、自分はまたしてもベッドに戻る。

 

今日から休日。

ここ最近の疲れが溜まっていたと、そう考えてしまっても許されるだろうか。

そんなことを思いつつ、眠気にも、迫り来るやらねばならないことにも、そっと目を瞑るのだった。