予想通り寒い朝。
目覚ましを聞かずに目を覚ます。
うだうだと布団にくるまりつつ、そう言えば、と私は机の上のココアを見やった。
時は遡り、昨日の深夜。
お腹が空いたと言う同居人に誘われ、コンビニへと足を運ぶことになった。
ちょっとだるいなと思いつつ、ほぼパジャマのまま外へ出たら、雪が降っていた。
それも結構な勢いで。
半引きこもりの私にとっては初雪だ。
うわー、と騒ぎつつ、すぐそこのコンビニへと急ぐ。
そんなに距離はないのに、黒い上着はあっという間に白い斑点で埋まってしまっていた。
朝起きる度、信じられないような低い温度を表示する携帯の温度計を見て、馬鹿じゃないの!?と声を上げていたが、まさか雪が降るほどとは。
深夜のコンビニで適当な食べ物と、あと少しだけ考えて、温かいココアをカゴに入れる。
今から飲もうというものではない。
明日の凍えるような朝を考えてのことだった。
寒い時にはココアと相場は決まっているのだ。
そんなこんなでココアのある朝。
布団からなるべく出ないよう、近くのカーテンを開ける。
冷たい空気の中、屋根にはうっすらとした白。
どうやら昨夜の雪は少しだけ積もったらしい。
幼少期、雪が積もっただけで特別になった通学路のことを思い出す。
年に二、三回しか雪が積もらなかった地域。
小学校の頃、グランドが真っ白になれば、生徒は授業どころではなく、大体どこのクラスの先生も一時間目を取りやめて、雪遊びの時間を設けてくれた。
だから、雪はそれなりに好きだったはずだ。
それに、幼心にもこのわくわくは忘れたくないと、そう思っていたはずなのだが。
冷たい窓に背を向け、机の上のココアを温める。
とてもじゃないが雪遊びをしようとは思えない。
年齢を気にしているわけではなく、単純に寒さに耐えきれなくなってしまった。
今は家の中ですら、動くこともままならないというのに。
そんなことを考えつつ、電子レンジからカップに注いだココアを取り出す。
ココアはそもそも好きだったが、明確に感銘を受けたのは、かのバンホーテンのココアを飲んでからだ。
しかし、今日はこちらの小岩井。
小岩井の飲み物も大好きだった。
そっとカップに口をつけると、濃厚な甘さが口いっぱいに広がっていく。温かい。
甘さは別に寒さと関連しないと思うのだが、寒い時はどうしても甘い牛乳を飲みたくなる。
アニメや漫画の見過ぎだろうか。
そっと胃が弛緩していく感覚に、息を吐く。
今日はどんな一日になるのか。
少し早い朝。ちゃんと活動できればいいな、と思いつつも、やはりベッドに戻ってしまうのだった。