食べ物と私

食べます。

新年に洋食を

 

目覚めたらもう午後を過ぎていた。

初日の出も何もない。

最近はこんな日ばかりだと思いつつ、一月一日、世間ではめでたい日なのでなんでも良しとする。

 

寝ぼけ眼で冷たい携帯をいじると、ラインの通知が21件。

ざっと見たところ半分はお店の宣伝メッセージだ。

あとは家族と、数人の友達。

 

早く返さなければ、と思いつつ、もう今更急いでも遅いか、と考え直し、またベッドに潜る。

今日は特にすることもない。

完全なる寝正月で終わりそうだ。

 

まだ揺蕩う眠気に身を任せても良かったのだが、同様にお腹も減っていることに気がつく。

 

冷蔵庫にあるヨーグルトでは物足りない予感がしたので、どうにかベッドから這い出て、久々にトーストを焼くことにする。

 

ついでにこちらも久しぶりな目玉焼きをつくりながら、いや、普通今日はおせちとかお雑煮なのでは?と自分でツッコミを入れてみる。

 

油断すると頭から抜け落ちてしまうが、今日から新年。朝だって、多分和食が一般的なのだろう。

しかしおせちはもちろん、餅すら一人暮らしのこの家には無い。

 

よく売ってある鏡餅の置物でも買っておくべきだったか、と心にも無いことを思いながら、焼けたトーストを取り出す。

 

ただでさえ「朝食を作る」という行為すら久しぶりなのだ。

その点だけでもどうか許して欲しい。

 

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湯を沸かしてスティックコーヒーでも飲もうかと考えるが、湯を沸かす時間が面倒なのでやめにする。

今日はとことん堕落していたいのだ。

 

トーストを一口、齧る。

どうせなら、と乗っけたチーズがびよんと伸び、目玉焼きもとろとろ過ぎない、いい硬さを保っていた。

 

安定した味。

それなのに、なんだか随分久しぶりの朝食であるように感じる。

どうやら新しい年を迎え、ちょっと元気も回復してきたらしい。

 

食べ終わったお皿もそのままに、ベッドへ戻りつつ、そういえばお参りはどうしよう、とぼんやり考える。

なんせこちらに引っ越してきてから、初めてのお正月なのだ。

どこの神社が一番近いのかすら分からない。

 

しかし、段々と考えることすら面倒になってしまい、思考を放り投げる。

そもそも人が多いところは苦手なのだ。

おみくじもゲームの中で引いてしまったし、もうそれで良しとしてはダメだろうか。

 

ゴミのような考えだ。

罰当たりかもしれないとも感じるが、そもそも神様に何かいいことをしてもらった記憶もない。

そんな言い訳を重ねつつ、いよいよ初詣にすら行かない未来が見え始めたところで瞼が重くなる。

 

まぁ、好きにすればいいか。

 

結果そんなどうにもならない結論に落ち着きつつ、今度こそ私は目を閉じるのだった。