昼間。あまりにも家に何もなく、また買い物に行って作る気力もなかったため、安くて沢山食べられるところ、『すき家』に行こうという話になる。
2月になってますます寒くなってきたような気がする。
冷たい風に思わず身震いした。
牛丼屋さんは、朝、昼、夜、どこでもオールマイティーに食べに行ける場所だと個人的に思っている。
ボリュームもあるし、何より朝、とりわけ徹夜明けの牛丼にはなかなか惹かれるものがある。
とはいえ、私自身が朝に牛丼を食べたことはまだない。
ただ以前、友達が飲み歩いた翌朝に牛丼を食べたという話をしてくれたことがある。
飲んだ後の締めのラーメン。締めのお茶漬け。
お酒は好きだがもっぱら一人で宅飲みをしてしまうため、誰かと飲み歩いた経験はない。
当然、締めという概念もない。
それに、食べることは好きなのに、私は案外量を食べられない。
ただでさえお酒の炭酸でお腹が膨れてしまうのに、締めまで食べられるかと問われれば少し謎なところではあるのだ。
もう少し胃が大きかったら、ラーメン屋でも牛丼屋でも大を頼むし、トッピングだって乗せてしまうのだが。
そんなことを考えつつ、着いた店でザッとメニューを確認する。
何となく牛丼よりも軽いものが食べたい気分だったので鶏そぼろ丼を、もちろん並盛りで注文。
微妙な時間だからか、人もまばらな店内。
大きな器に盛られた鶏そぼろ丼はすぐにやってきた。
普段、すき家で食べるものは大体普通の牛丼かチーズ牛丼と決まっているので、こうして卵がついてくるのも新鮮である。
初めて使う用具で黄身と白身をうまく分け、鶏そぼろの上に乗せる。
そのまま赤いスプーンで黄身を崩して、一口。
ほろほろとした鶏そぼろと、とろける卵、そして刻み海苔が案外いいアクセントになっていて美味しい。
素朴ながら、ほっとする味だ。
牛丼屋で牛丼以外を食べるのは初めてだった。
でも、何となく〇〇屋さんの〇〇以外は通な気がして、食べてみたくはあるのだ。
牛丼屋さんのカレー。
なぜか知らないが、どうしても魅力的に映ってしまう。
まあ、毎度毎度店が売り出している看板メニューに目がいってしまい、食べることは叶わないのだが。
鶏そぼろ丼を食べながら、チラリと横目でカレーライスのメニューを見てみる。
今度来る時は頼んでみようかな、なんて。
牛丼は並盛りでも結構量がある。
いい感じに満腹になってしっかり水を飲み、席を立つ。
店の外に出ても行きほど寒くないのは、今食べたものが体の中で頑張ってくれているからだろう。
重さとは裏腹に少し動くようになった体で、さて午後からは何をしようと、少し明るく思うのだった。