用事が終わった昼間のコンビニ。
買い物に行く度に買おう買おうと思っていた商品をようやく手に取る。
私は一人暮らしをしている癖に、即席で食べられるもののストックがない。
同居人がすぐに食べてしまうという理由もあるのだが、なかなか食べるタイミングを掴めないのだ。
それに、どうやら私は化学的なものがあまり得意でないらしい。
インスタントなど、お湯で膨らますタイプのものは何だか胃腸が気持ち悪くなってしまうし、カロリーゼロの人工甘味料の味はガムのようで好きじゃない。
とはいえ、前者は時々無性に食べたくなったりするのだが。
そして今回は、大きな使命感とちょっとの好奇心のため。
100円と少しの晩御飯。
満を辞してカップヌードル、チリトマトを食べる。
私が新しいものに手を出すきっかけは大体推しだ。
今回も例にも漏れず、推しが日清とコラボしていたため、ある種の使命感に駆られ、この食べたことのないフレーバーに挑戦しようというわけである。
推しのいるゲームは、カップヌードルの定番九種類とコラボしているらしいが、そもそもカップヌードルの「定番」が九種もあることを私は知らなかった。
というか、チリトマトというフレーバーすら推しに勧められなければ知らないままだっただろう。
夜、日が落ちてからお湯を沸かし、晩御飯の準備をする。
カップヌードルの開け口が猫耳になったことはTwitterからの情報で知っていたが、実物を見るのは初めてである。
チベットスナギツネが混ざっているとのことだったので少しドキドキして蓋を開けるも、顔は描かれていなかった。
そういえば王道のカップヌードルにしか顔は描かれていなかったんだっけ、と少し残念に思う。
それからお湯を注いで三分。
私は少し少なめにお湯を注ぐのが好きなタイプである。
いよいよ蓋を剥がす。熱々の湯気と共に、カップヌードルならではのちぢれ麺が顔を出す。
よく覚まして、一口。
チリ、というだけあって辛いのかな、と思いつつ、実際はそうでもない。どちらかというと、トマトの味が強くて、ピザっぽい感じがする。
ラーメンを食べているはずなのにどこか不思議な気分になりつつ、ずるずると食べ進める。
チーズを入れると美味しいと誰かが言っていたので、途中からはスライスチーズを投入して。
申し訳ないがスープは残して完食だ。
思いの外膨らんだお腹を抱えつつ、男子高校生の推しにはもっとたくさん食べて欲しいな、という思いに駆られる。
一個食べている間に一個作るくらいの勢いで食べていて欲しい。
そんな妄想を膨らませつつ、きっと出先でチリトマトを見る度に推しを思い出すのだろうな、とぼんやり思うのだった。