食べ物と私

食べます。

穀潰しと300円の食パンと

朝、アラームの力を借りて目を覚ます。

今日は少しだけ行かなければならない場所があった。

 

むくりと起き上がる。

家にいる時は暖房を入れっぱなしにしているので、朝もそこまで寒くない。

加えて家にいるばかりだから、最後に暖房を消したのがいつなのか、よく覚えていないほどだ。

電気代が恐ろしいが、知ったことではない。

 

どんどん食べることや作ることが億劫になってきているのでさっさと済ませてしまおうと、焼いた食パンに直接生卵を落とす。

卵を囲むように、マヨネーズ、そしてチーズもトッピングする。

そのままオーブンへいってらっしゃい。

 

先日、母と父のグループラインに通知があった。

私の家の契約更新料が高くつくらしい。

本当にこの値段で合っているか確かめる母に対し、父は「合っているよ、いいところに住んでいるから」と返信していた。

その後個人ラインで母から「というわけでお金の心配はいらないよ」とメッセージがあった。

 

何だかあてつけのようなメッセージだと思ってしまった。

本人達にその気があるのかは分からないが、なかなか心にくるものがある。

 

お金の問題は大事だ。

生きていく上で欠かせないし、慎重に扱っていくべきものなのだろう。

正直この歳まで親にお金を工面してもらっているのは申し訳ないとも思う。

きっと労力も酷くかかったのだろうなと。

それに、いいところに住ませてもらっているのも、一人暮らしさせてもらっているのも、学費を払ってもらっていることも、それらに私が甘えていることも、全部全部事実だ。

 

しかしそれでも、やっぱりどこかで「貴方達が産んだんだろう」と思ってしまう自分がいる。

人並みくらいの愛は貰って、少しばかり経済的にも余裕のある家庭で育ったというのに、ずっと何かが満たされない。ずっと何かが違っている。

 

決してネガティブな意味ではなく、私は生まれない方がきっと幸せだったのだ。

その確信が、どうしても頭から離れてくれない。

 

そんなことを考えている間にオーブンが完成を知らせる。

同居人に頼んで買ってきてもらった食パンは、300円するものだった。

 

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少し耳が焦げてしまったと思いつつ、一口。

サクリと音を立て、いつもよりもしっとりと柔らかい食パンがチーズと共に胃に入っていく。

 

誰か頑張っている人に言えば怒られそうだが、全人類、最低限の生活は保障されるお金を国から出してもらえればいいのに、と思う。

それほどに、これからやっていける気は一ミリもしていない。

織姫と彦星が離れ離れになった理由を、いまだに私は理解できないでいるのだ。

 

眠い目を擦る。

朝はまだ始まったばかりだ。