食べ物と私

食べます。

宵酔い・トリスのハイボール

何もかも上手くいかない日。

滑り出しは順調だったように思えたのだが、雨に降られてから風向きが一気に変わったように感じる。

 

予定をキャンセルされ、予期せぬメールが届き、返信を間違え、予定が埋まり。

 

仕方がないこととはいえ、ぐるぐるとやり場のない感情が顔を出す。

そもそも私は何か用事があると前日の夜まで緊張するタチなのだ。

それが全部チャラになってしまい、本当にくたびれた。

 

何とか晩御飯とお風呂など、最低限の支度を終えてベッドに寝転がる。

こういう日は早く寝た方がいいことは分かっている。どうせ起きていたところで、何か生産的なことが出来るわけではないのだ。

 

しかし、そんな心に反して電気はまだ明々とついているし、なぜか消そうと思えない。

スマホの動画だって特に面白いわけでもないのに、スクロールする指が止まらない。

 

寝てしまえよ、とどこかで叫ぶ自分を感じつつ、ああ、これはダメだな、と思う。

きっとこのままじゃ眠れない。

 

体は疲れて眠たいのに、まだ心が欲している。

今日をこのまま終わらせてたまるか、まだ明日が来るには早いんだ、と。

 

少し躊躇うもペタペタと冷蔵庫に向かって歩き、一本の缶を取り出す。

今日はこんな気分になるんじゃないかと予期して買っていたトリスのハイボール

寒いのでベッドについている狭いスペースで、ぷしゅりと缶を開けた。

 

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ごくごくと一息で結構な量を飲んでしまう。

喉を流れていく小さな炭酸がシュワシュワと弾け、ハイボール独特の香ばしさとレモンの爽やかさが突き抜けてくる。

 

少し酔いたい時はよくこのハイボールを買っている。

お酒は好きだが、ビールではなかなか酔うことは難しいのだ。

前まではこのトリスの9%を好んでいたのだが、一定期間酒を飲まなかったので、最近はひよってこの7%に落ち着いている。

 

ところで私は、まだ人生でトリスのハイボールを好んで飲む人に出会ったことがない。

私はハイボールの中ではダントツでトリスが好きなのだが、どうやら少し爽やかすぎるらしいのだ。

反対に、スコッチなんかは私にとっては重くて、なかなか口が進まない。

いつかトリスのハイボールを一緒に飲んでくれる人が出来ればいいのだが。

 

脳が死んだ状態でごくごくとお酒を飲みながら、ただ何のためかも分からないまま、1分未満の動画を延々と再生し続ける。

どんどん夜は更けていくのに、ハイボールはなくならない。

 

こんなことで気持ちが晴れるわけでもあるまいし、と自分がやっていることの無力感に苦笑しつつ、いつまでも冷たいハイボールを手に取るのだった。