一連の用事が終わって、ようやく一息つける日。
久々の、本当に久々の一人の日。
本当に誰とも会わない日。
静かさが懐かしい。
自分の声が大きく聞こえるこの感じが、私はそういえば結構好きだったのだ。
何に追われることもなくベッドでスマホをいじる。
本当は何もかもに追われている、なんていう事実は、今は無視だ。
何にも振り回されないで、心が軽い。
他の何者でもない、自分に振り回されることもあるけれど、深みに嵌まらなければその危険だってない。
思考は鈍るくらいがもしかしたら丁度いいのかもしれない。
ダラダラとそんなことを考えながら、ふと空腹に気付き、Uber eatsを開く。
ただ開いただけ、本当に頼む気はなかったのだが、50%オフクーポンなんて、聞き捨てならないものが目に入る。
しかも誕生日の収入が先日入ったばかりである。
これは使わない手はないだろう。
どうやら日用品を扱っている店でしか使えないクーポンだったらしく、大人しくローソンのメニューを眺めてみる。
適当にカートに入れつつ、揚げ物の欄、からあげクンを見つけてしまう。
Uber eats仕様だろう、20個入りからあげクンボックスなるものがあったのだ。
どうせ今日は家から出ないのだ。
自炊する気力も材料もないし、何より半額。
ここは買っておくしかないと、一気にカートに入れて注文。
しばらくしてチャイムが鳴る。
ケーキみたいな箱に入って登場したのは沢山のからあげクン。
結構食べ進めた後に撮ったのでなかなか残念な形になっている。
本当はもっと沢山あったのだが。
揚げて待っていてくれたのだろうか、沢山ついてきた爪楊枝の一つを手に取り、熱々のからあげクンを口に放り込む。
からあげとナゲットの間みたいな、絶妙なジューシーさ。
衣はサクサクしていて、かなり美味しい。
何故か一口食べるごとに食欲が増してしまうような。
小さい頃、父が好きだったのか、よくローソンでからあげクンを買ってくれていた。
近くのローソンが潰れたのか、いつの間にかその習慣はなくなったのだが、この影響で私はからあげクンが結構好きだった。
4個、5個と食べ進めてしまい、慌てて危ない危ないと蓋を閉じる。
お腹が空いているいないに関わらず、このままだと箱をすっからかんにしてしまいそうだ。
熱々は美味しかったです、と合掌しつつ、手の届かないところに箱を置いてしまう。
このからあげクン20個で、私は今日を生き延びるのだ。