食べ物と私

食べます。

クリームソーダがなくなるとき

何だか色々と渦中にいる友人iと念願の店に向かう。

 

以前も書いたかもしれないが、友人iは唯一のオタク友達である。

とはいえ推しているのはキャラどころか作品すら違うのだが、何だかんだ話は合うから不思議なものだ。

 

可愛らしい外装。

おとぎ話に出てくるような木製のドアを開けて、入店する。

少し暗い照明とファンシーな飾りつけで満ち溢れている店内。

私達の目的は、色をカスタマイズ出来るクリームソーダだった。

 

何種類も色がある中、うんうん言いながら2人で悩み、それぞれの色を注文する。

2人とも推しが1人ではないため、グラデーションで頼んでみる。

持ってきたアクスタやぬいぐるみと控えめに撮影会を行っていると、可愛らしい店員さんがこれまた可愛らしいクリームソーダを運んできてくれた。

 

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思わず2人して目を輝かせる。かわいい。

さっそく持ってきたぬいぐるみと一緒に撮影会を行った後、クリームソーダに手を付ける。

 

小さな炭酸。青の方は何味なのかよく分からないが、爽やかな甘さが喉にはじける。

オレンジ色の部分はしっかりオレンジジュースの味がした。

アイスはしっかりと濃厚で、結構食べ応えがある。

 

友人iの推しのイメージカラーが赤とオレンジなのに対して、私の推し2人のイメージカラーはオレンジと青。

補色なので上のオレンジが少し濁ってしまったが、これはこれでいいかな、なんて思う。

そんなことより私は嬉しかったのだ。

 

他の何にも代えられない程、とにかく、とにかく推し活は楽しい。

この写真を撮っている時、飲んでいる時は気が付かなかったが、こういった楽しみ方は人生で初めてだった。

 

アイスとソーダがぶつからないようどうにか工夫して食べ進めながら、ふと頭の片隅で、このクリームソーダがなくなってしまう時を考える。

 

たとえば夏休みの始まりに8月31日のことを考えてしまうように。

たとえば金曜日の夕方に日曜日の夜のことを考えてしまうように。

楽しい時、私の頭の中にはいつもその時間の終わりがちらついている。

 

やめればいいのに、と思う。

どうせ嫌がっても終わりはやってきてしまうのだから、その時間は思いっきり楽しめばいい。

終わりのことなど考えず、全力で謳歌すればいい。

 

それなのにやはり楽しい時間に、私はどこか寂しくなってしまう。

 

最後のひと吸いを終えてグラスの中が空になる。

今日の最大の目的は終わってしまったし、良くない時間は刻刻と近づいてくる。

まだ友人iは横に居るのに、どうしても憂鬱になってしまう。

 

2人で財布を出しながら、少しクールダウン。

この時間に縋るように、私たちは店を出てカラオケ店へと足を運ぶのだった。