食べ物と私

食べます。

はじまりのサンドイッチ

ふと気が付けば、いつの間にかスケジュール帳が予定で埋まってしまっていた。

こんなに忙しかったか?と考えてみるも、どうやら予定調節を間違えてしまったらしい。

それか、今までがのんびりすぎたか。

 

これはまずいと思いつつ、走り出した列車を止めることも出来ず、体と心はおやすみモードのまま、やることだけが募っていく。

 

まずは今日がその一日目である。

 

春になってきたとはいえ時々寒い。

今日の朝も寒くてなかなか布団から出られず、のんべんだらりとYouTubeのショート動画を流し見してしまう。

 

明日からは友達が泊まりに来るから、家を出る前に掃除機をかけておきたかったのに、その気力は残念ながらない。

外の用事が終わってからどうにかするとしよう。

 

とりあえず元気を出すために、と冷蔵庫からお皿を取り出しキッチンへ。

そのまま皿に乗っかったパンを半分に切る。

昨日の夜に作っておいたサンドイッチだった。

 

f:id:zenryoku_shohi:20220329184315j:image

 

サンドイッチを自分で作ったのは随分久しぶりだった。

最近は買い物に行けておらず、手に入る食材が少ないのだ。

それに、暖かくなってきたのに、まだキッチンに立つ力もない。

それなのに、休みは明けるし4月はやってきてしまうのだ。

 

冷たいサンドイッチを頬張り、シャクシャクとキャベツを噛み砕く。

本当はレタスの方が好きなのだが、何となく日持ちするのはキャベツのように思えてしまい、結局レタスは買えないままだ。

 

残り半分はお昼ご飯に食べようと思いながら、ふとテーブルの上を見る。

昨夜飲んだワインのグラスが洗われないまま転がっていた。

 

あーあ、早く洗わなきゃ。

 

そうは思いつつ、なかなか足が動かない。

掃除機のために取っておいた時間はどんどん溶けていくのに、私は動けないまま、必死で瞼を開けておくことだけを考えている。

 

いっそこのまま予定を消してみてしまおうか、と思う。

このご時世、たとえそれが仮病でも熱があると言えば先方は安静に、と言わざるをえないだろう。

 

そんな最悪なことを考えつつ、やはり実行には移さない。

度胸も足りなければ、その後の罪悪感に殺されてしまうことだって容易く想像できる。

 

しかたないと、寒いのに冷蔵庫からレッドブルを一本取り出す。

ダメダメな時の必殺技だ。

これで多少はマシになってくれるといいけれど。

 

相変わらずノロノロと着替えを済ませ、昨夜のワイングラスを流しに持って行ってしまう。

これを洗うのは、帰ってから。

メイクもおざなりに、髪だけを辛うじて整えて、靴を履く。

 

大丈夫。ここまでくれば、きっとあと少し。