ふと気が付けば、いつの間にかスケジュール帳が予定で埋まってしまっていた。
こんなに忙しかったか?と考えてみるも、どうやら予定調節を間違えてしまったらしい。
それか、今までがのんびりすぎたか。
これはまずいと思いつつ、走り出した列車を止めることも出来ず、体と心はおやすみモードのまま、やることだけが募っていく。
まずは今日がその一日目である。
春になってきたとはいえ時々寒い。
今日の朝も寒くてなかなか布団から出られず、のんべんだらりとYouTubeのショート動画を流し見してしまう。
明日からは友達が泊まりに来るから、家を出る前に掃除機をかけておきたかったのに、その気力は残念ながらない。
外の用事が終わってからどうにかするとしよう。
とりあえず元気を出すために、と冷蔵庫からお皿を取り出しキッチンへ。
そのまま皿に乗っかったパンを半分に切る。
昨日の夜に作っておいたサンドイッチだった。
サンドイッチを自分で作ったのは随分久しぶりだった。
最近は買い物に行けておらず、手に入る食材が少ないのだ。
それに、暖かくなってきたのに、まだキッチンに立つ力もない。
それなのに、休みは明けるし4月はやってきてしまうのだ。
冷たいサンドイッチを頬張り、シャクシャクとキャベツを噛み砕く。
本当はレタスの方が好きなのだが、何となく日持ちするのはキャベツのように思えてしまい、結局レタスは買えないままだ。
残り半分はお昼ご飯に食べようと思いながら、ふとテーブルの上を見る。
昨夜飲んだワインのグラスが洗われないまま転がっていた。
あーあ、早く洗わなきゃ。
そうは思いつつ、なかなか足が動かない。
掃除機のために取っておいた時間はどんどん溶けていくのに、私は動けないまま、必死で瞼を開けておくことだけを考えている。
いっそこのまま予定を消してみてしまおうか、と思う。
このご時世、たとえそれが仮病でも熱があると言えば先方は安静に、と言わざるをえないだろう。
そんな最悪なことを考えつつ、やはり実行には移さない。
度胸も足りなければ、その後の罪悪感に殺されてしまうことだって容易く想像できる。
しかたないと、寒いのに冷蔵庫からレッドブルを一本取り出す。
ダメダメな時の必殺技だ。
これで多少はマシになってくれるといいけれど。
相変わらずノロノロと着替えを済ませ、昨夜のワイングラスを流しに持って行ってしまう。
これを洗うのは、帰ってから。
メイクもおざなりに、髪だけを辛うじて整えて、靴を履く。
大丈夫。ここまでくれば、きっとあと少し。