食べ物と私

食べます。

サンドイッチ、食後のピアス。

疲れた。本当に疲れた。

ここのところ外が明るいうちに帰れていない。

いや、帰ろうと思えば帰れるのだが、個人的には今週が頑張りどころなのだ。

正しく言うと、今週頑張らなければ来週の私が死ぬ。

 

暗い部屋で電気を付け、コートを脱いで椅子に掛ける。

私は多分少数派のごはんより先にお風呂派なのだが、最近はそんなことも言っていられない。

 

ゾンビのごとく冷蔵庫に這い寄り、お皿を取り出す。

私の屍のために作っておいたのは、またしてもサンドイッチだ。

そこからどう見ても朝、昼ごはんのような晩御飯である。

 

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もっと晩御飯らしいものを作ればいいと思われるだろうが、レタスにハム、チーズ。

火も包丁もまな板も使わない料理は敷居が低い。

しかも野菜に肉、炭水化物が一気に取れる優れものなのだ。

 

少し乾燥したパンにがぶりと噛みつく。

シャキシャキのレタスは健在で、ハムとチーズの塩気が嬉しい。

疲れた体に沁みわたるようだった。

貪り食うようにもしゃもしゃと食べ終えてしまう。

 

そしてある程度活力を取り戻した今日。

忙しすぎるあまり一周回って怒りの念が芽生えてきた昼間、決意したことがあった。

達成すべく体を引きずるようにして風呂入る。

 

そのまま以前友人iが買ってくれたピアッサーで、私は人生初の穴をあけた。

 

穴を空けた、と一言で言ってしまうが、結構大変だった。

 

何が大変だったって、目の限界だ。

人の目は耳と遠い位置にあることを忘れていた。

耳を映した鏡を見るために、冗談抜きで眼球が飛び出るくらい目を動かした。

しかも、何と耳も案外真っ直ぐではないのだ。曲線が強い。

垂直とはなんだ、と耳との距離感が掴めないままイライラと耳たぶを引っ張った。

 

位置も正直どこに空けていいか分からなかったため、適当にアイラインで印をつけた。

いよいよ力を入れれば、漫画で見るようなバチンっ!なんて音は鳴らずに、というかそれ以前にちょっと貫通しないまま、ピリ、とした痛みだけが走る。

当然ピアッサーは外れない。

 

あー…と思いつつ、じんわりじんわりとピアスを押し込んで、鋭い痛みから鈍い痛みに変わるまでぐっと力を入れてみれば、ようやく透明の留め具が外れる。

 

どうにかこうにか右耳に輝くトパーズ。推し色である。

 

もう一度鏡を確認してみても、失敗なのか成功なのか分からない。

まあ、これは明日他人に見てもらった方が早いだろう。

 

ちょっと誇らしい気分になってみる。

ピアスを開けると運命が変わる、なんて言葉を信じている訳ではないが、やはり初めての高揚感は少し心地いい。

今日からしばらくこのピアスは私と一緒だ。

 

ジンジンと鈍い痛み。存在感が、嬉しかった。