食べ物と私

食べます。

熱量とフレンチトースト

やる気が出ない朝。

段々と起きる時間は早まっていっているのに、目が覚めて布団から出るまでの時間は遅くなってきている気がする。

 

冬の名残でエアコンを入れ、もぞもぞと動く。

やる気が出ないとはいえ、やることのある朝だ。

私はここから這い出して、数時間後には日の下を歩かなければいけない。

 

顔を洗って、水を飲んで、着替えて。

ナマケモノのようにゆっくりと行動する。

どうしても朝は早く動けないから、家を出る2時間前に起きるのが私のルールだ。

 

鏡の前に立ち、ぺたぺたと色んな色のクリームや粉を塗る。

私の化粧品中にはもう6年目に突入する古参もいる。怠惰もいいところだ。

劣化は気にしないのだが、ファンデーションがもう無い。新しいものを買わなければ。

 

化粧をしながら、動画を見ながら、朝ごはんのことを考える。

時間にして10分間。なかなか濃い。

そして厳選なるお腹と脳の会議の結果、ちょっと凝ってでも食べたい朝ごはんが決まった。

 

卵に牛乳、砂糖。そこに食パンを漬ける。

そう、おなじみのフレンチトーストである。

最近はスーパーに行っていなかったため牛乳が家になく、なかなか作ることが出来なかったのだ。

それどころか数日前まで卵もないような有様だったため、それと比べれば今はかなり潤った状態だ。

 

フライパンにバターを敷いて、じゅわじゅわじっくり焼いていく。

いい焼き色になったところでひっくり返し、思い出してチーズをかける。

これで立派過ぎる朝ごはんの完成だ。

 

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チーズをとかしていたら裏が少し焦げてしまった。けれどまあ、許容範囲だろう。

寒さで凍ってしまったはちみつをバターのように塗って、一口パクリ。

思ったより浸かっていたのか、パンが思った以上に柔らかい。プルプルだ。

あまじょっぱさが脳に行きわたる。ちゃんと目が覚めていく。

 

体温があがるからだろうか、それとも食べることが好きだからだろうか。

どれだけ眠くても朝ご飯を食べると、やっぱりちょっと元気が出る。

そして朝ごはんが美味しければ美味しいほど、テンションだって上がる。

 

しかし、こんなに単純で簡単な人間なのに、朝ごはんだって作れない日もあるのだ。

人生なかなか難しいと思う。

 

朝からちゃんとお皿を洗いつつ、なんだか今日は調子がいい日だと思う。

やる気は依然として出ないし、出来ることなら休みたい。

しかし、どうやらフレンチトーストは力をかしてくれたようだ。

 

腕時計にイヤーカフ、春のコートを羽織ってエアコンを消す。

ヘアアイロンのコンセントを抜けば、用意は完璧。

ポッケのハンカチを確認しつつ、鍵を手に重い扉を開けるのだった。