食べ物と私

食べます。

胡椒にトースト、叱られること

久しぶりにアラームよりも早く目が覚めた。

今日という日に絶望しながら、どうにか体を持ち上げる。

午前中。本当に本当に嫌な用事があるのだ。

 

怒られ慣れていないことがネックだと、この歳になって思う。

もちろん全くないわけじゃない。特に親に怒られた経験は数えきれないほどある。

しかし、他者に怒られた記憶はあまりないのだ。

 

たとえば先生、近所の人、友達。

 

いい顔をするのが上手いのか、にこにことしているうちに、いつの間にか怒られる機会を失ってしまったのだ。

 

当時はそれでいいと思っていた。

怒られることが怖いのは今も昔も同じである。

しかし、特段悪いことをしていなくても大人になれば怒られるタイミングがあるということを、小さい頃の私は知らなかった。

 

頑張っただけで満点でいられるのは幼いうちだけ。

大人になったら頑張ることは当たり前、それに成果がついてこないことには何かを成し得たことにならないのだ。

 

のろのろと着替え、食パンを取り出す。

真ん中にくぼみを作って卵を落とし、上にチーズを振りかけて、トースターへ。

簡単に出来る卵とチーズのトースト。

 

f:id:zenryoku_shohi:20220415084147j:image

 

最近、このトーストには胡椒があってなんぼだということに気が付いた。

熱々のトースト。端っこの方を持って、ザクリと一口。

スライスチーズじゃなくてピザチーズを使ったからか、チーズの伸びが良い。

卵の焼き加減もその日のトースターの気分次第なのだが、今日はいい具合の半熟具合。

とろとろだった。

 

トーストを食べ続ける度、出発時間が近づいてくる。

本音を言うと本当に行きたくない。このままもう一度寝てしまいたい。

行ったとて、いいことにならないのは知っているのだ。

良くても怒られないだけ。悪くてこてんぱん。積みだ。

 

この歳になっても、いや、なったからこそ、出来れば一生怒られたくないと思う。

そもそもの自己肯定感が低いのに、さらに貶められるようなこと、されたくない。

 

私の周りの人には、怒られることが成長に繋がると考えている、向上心の強い人もいる。

私もそう生まれたら良かったのだろうが、どうにもそんなに一生懸命になれないのだ。

きっと私は私のことが大好きだから。

私は私のことが、一番大事なのだ。

 

とはいえ、時間は過ぎるし今日の地獄がなくなるわけでもない。

紙皿を捨て、歯を磨き、持ち物の確認をする。

どれだけ最悪な状況になったとしても、次にこの場所に帰ってくる時は全てが終わっている状態である。

 

食べたからか、ちょっとまだ眠い。頭を働かせなければ。

リュックを背負う。

学校に着いたらコーヒーを買おうと決意するのだった。