行きたくない朝だった。
何かが起こって予定が無くなればいいと思うけど、多分そういうわけにはいかない。
よく眠れなかった気がする。
人の生き死にの夢を見た。あと誰かに尽くさなきゃいけない夢も。
尽くさなきゃいけない夢は本当に嫌だった。
何で夢の中でも顔色を窺わなければならないのだと思う。
外は相変わらず曇りだった。
曇り空の時にいい気分だった記憶がない。
梅雨に入れば、きっともっと憂鬱になってしまう。
着替え、化粧と順調に事を済ませ、朝ご飯を作る。
今日は時間的に朝昼兼用というわけにはいかなかったから。
パンに卵を落とし、チーズを乗っけて焼く。
簡単なラピュタパン。簡単な。
熱すぎて食べられないから、ゆっくりと時間をかけて咀嚼していく。
最近右のフェイスラインのあたりに違和感がある。
痛いとも染みるとも違う、妙な感覚。
体のことは面倒なので、ちょっと放っている。
数日前に買った食パンはちょっとパサついていた。
光の入らない部屋で、夜のことを考える。
何事もなかったなら、多分今日の帰りは遅い。
今日はどうなってもいい日だと思っている。
いつもは後のことを考えてセーブしたりもするけれど、屍になろうと明日は休みだから。
本当はそんな理由、きっと駄目なんだろうけど。
今日の私は殺されて、だから明日、生きられる。
いわば犠牲だ。
そうやって一週間に最低一日は自分を殺さないと色々な用事が回らないし、一週間に一日自分を殺したところで私は健康だ。
本当に嫌になる。なんで生きられてしまうのか。
食べ終わって、ちょっとエネルギーを蓄える。
食べるのも補給ではなくて行動なのだな、とぼんやり思う。
手元だけなら動かせられるので、メモを開きスマホに向かおうとする。
しかし、ついついと黒い画面をスクロールするだけで終わってしまった。
そういえば、昨日寝る前もそんな感じだったような。
文を書くと、ちょっと調子が分かったりもする。
今は何だか良くない感じだ。
滞っているような。捗らない。
最近、感情移入が難しくなっている気がする。
何かを、他者を感じる隙間がない。
五月だからだろう。多分、疲れてしまっている。
オーブンの天板を久し振りに洗って、折角乾いていたフライパンに被せるように乾かした。
色々なことをする余裕がなくなっている。
余裕がないと、優しくなれない。
適当にパーカーを羽織って、重たいリュックを背負う。
ここに入っている荷物は、一体何のために必要なのだろう。
ドアを開ける。外は緩い。