食べ物と私

食べます。

褒められドーナツ

家に帰るとドーナツがあった。

 

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当たり前だ。昨日買って帰ったから。

写真は2つだが、1つ、エンゼルクリームの方は朝ごはんに食べてしまったので、実際にあったのはほうじ茶味のオールドファッションだけだけど。

 

時間が安定しないから、上手くご飯を食べる隙が無い。

だからこの日も家に帰ったら腹ペコだった。

机に着くなり、紙袋を破ってお皿にしてコップに水を灌ぐ。

本当は緑茶なんかがあればいいのかもしれないが、生憎お茶を淹れる余裕は残されていない。

ただ、オールドファッションを食べる上で水分は必要不可欠だった。

 

大きな口で、パクリ。

香ばしいほうじ茶をふわりと感じる。しっとりとした生地。

ホワイトチョコとの相性も抜群で、チョコのかかった部分を大事に食べる。

 

今日はちょっと予期しないことがあった。

嫌われている人と2人きりの対談。私は皆が言う程この人のことは嫌いじゃなかった。

だからこそ、ちょっと身構えて、緊張してしまう。

 

だけど。

 

「いいものを持ってるんだろうね」

 

にこやかに笑いながら、その人はそう言った。

いいもの、いいもの。

どう答えていいか分からなくなって、消え入りそうな声で「ありがとうございます」と一言呟いた。

 

この人と話す時は、大体自分についての話になった。きっと本来、そういうものなのだと思う。

だからこの人の話はよく理解できた。

 

そんな人にそう言ってもらえたことが、単純に嬉しかった。

それも、私が欲しかった言葉に近いもので。

 

優越感、高飛車になってしまいそうな醜い自分を抑えて、とりあえず喜びだけを感じてみる。

でもそこに生じる、ちょっとの虚しさ。だって、いいものを私は使わない。

いや、たとえ自分が何もやらないにしても、やっぱりそう言って貰えることが嬉しいことに変わりはなかった。

 

私が何かもっているんだとして、それが人には無かったとして。

きっとそれは私が生きる上で役に立つ反面、私を追い詰めている。

諸刃の剣もいいところだな、なんて。

 

それにしても、言い方は悪いが上の人から褒められる経験は随分久しぶりだった気がする。

これだってある種の呪いのようなものなのかもしれないが、褒められると他にはない喜びを感じてしまう。

低い自己肯定感がそうさせているのか、幼い頃の経験を根強く覚えているからなのか、それは分からないけれど。

 

もし将来、オールドファッションなんて食べられないくらいのおばあちゃんになったとして、それでも褒められることはまだ嬉しく感じると思う。

 

叱られるのが怖くて、褒められるのが嬉しい私は、幼稚なままだろうか。

 

ちょっと窒息しそうな喉を水で潤す。

オールドファッションはまだ美味しい。