推しの好物を食べながら、推しの小説を書いている。
しかもスターバックスで。
スターバックスのフードは滅多に食べないが、今日はどうしても食べたかったので、チーズケーキ。
想像通り、どっしり濃厚な味。満足感が果てしない。
スマホの上で指を踊らせながら、登場する推し達のことを思う。
彼らは相棒。
親友を超えたMAXな距離感、それでいて恋愛感情にはない二人だ。
ブロマンスに憧れている。
性的な感情も相手の挙動で一喜一憂して振り回されることもない。
恋は所詮魔法だ。魔法なら何でも出来る。何が起きてもおかしくない。
とどのつまり、正気じゃない2人が通じ合っているのは当たり前ではあるのだ。
しかし、そんな魔法に頼らずして結びついている2人というのは、もう本当に説明がつかない。
恋という呪いをかけられていないのに、自らの意思で相手のためを思って、相手と一生を共にしようとしている。
それは本当に本当に美しいことだし、心の底から私が欲しいと思っているものだ。
人との結びつきを考える上で、自分にはどこか潔癖な部分があるように思う。
本物じゃないと嫌なのだ。
同情も見返りもいらない感情で、私だけ、誰かに私だけを想って欲しい。
それも、私が心から同じように想える相手に。
でも、どこか諦めているのも事実で。
多分、この気持ちの始まりは幼い頃見た『ふたりはプリキュア』だと思う。
あんな友達が欲しいと心から思ったし、心のどこかでそんな二人に憧れていた。
今、私が推している男の子のユニットには、女の子も二人いる。
その二人だってとても仲がよく、互いを想い合っていて結びつきは強いと思う。
けれど、やはり男同士以上に惹かれることはない。
なぜ男同士なのか、というと、多分自分が女だから。
私にとって一生経験することのない性である男は、いわばファンタジーのようなものなのだ。
ファンタジーなら納得出来る。
知らないものなら、飲み込まれても違和感がない。
だから、どこかでそんな固い結びつきだって幻想であると知っている。
思えば今の推しに出会う前は某海賊漫画にかなり入れ込んでいた。
その頃の私はもう明確に自分が何に憧れているか知っていて、海賊船に乗り込んでしまいたい気持ちさえ抱えていた。
結びつきに捕らわれて、憧れて。
でも、基本的に他者に興味がない私が、そんな強い結びつきを得ることは、多分生涯不可能で。
席に座って談笑するグループを横目で見てみる。
今この店に居る何人の人が、私の憧れた結びつきをもっているのだろう。
もう一度パソコンに向かい合う。
せめて、ファンタジーの中は、綺麗なままで。