お金をおろしにATMへ向かう。
所持金は200円、しかし降ろしたお金も4千円と大したものではない。
その足でスーパーへ。
卵、アイスコーヒー、スーパーブランドの一番安いチョコアイス。
週一のスーパーで私が基本的に毎回買うものだ。
丁寧な接客を受けて物をリュックサックに詰める。
バックは持ってきているが、それとは別にゴミ袋も欲しいのでいつも大きなサイズのレジ袋を頼んでいる。
節約しているのか何なのか、どっちつかずでよく分からない。
大学時代の頃はとにかく支出を少なくしたかったから、主に自炊をして暮らしていた。
あの日々も随分と色褪せたように思う。
でも今よりも少し小さなワンルームで、私の生活は輝いていた。
買って来たものをキッチンに置き、豚ひき肉の割合が多めで安上がりの合いびき肉が室温の内に調理を始める。
今夜はみんな大好き、ハンバーグだ。
ハンバーグは元彼が好きな料理だった。
なんだかんだ言って私もちゃんと彼女をやっていたのだ。
ハンバーグを作る時は大抵お弁当用の小さい物か、彼氏が家にいる時のため。
思えばハンバーグを自分のための晩御飯に作ったことがあっただろうか。
玉ねぎを炒め、水分がなくなってきたところで適当に引き上げる。
冷めたらひき肉と合わせて卵、パン粉を加えて小判型に形成。
最近は私が読むどの漫画でも、ハンバーグにつなぎをいれないことが推奨されている気がする。
何でもそっちの方が肉肉しくて美味しいのだとか。
私もつなぎを入れずに作ったことがあるから分かる、確かに肉肉しさは一級品。
しかし、つなぎをいれるとかさが増すのもまた事実で。
フライパンで焼き始めると、さすが、豚ひき肉の割合が多いからかかなりの油が出た。
拭きとって丁度いい具合になったところで適当にソースを作って、盛り付けて完成。
なんだかちゃんとした晩御飯になったような気がする。
ハンバーグを一口食べてみれば、思ったよりも肉肉しい。
ちょっと固いが、そこが家の手作り感を増していて美味しいと思う。
私が作った、私のためだけの晩御飯。
なんだかすごく健康的で開放的で、とてもとても美味しく思えた。
二つ目のハンバーグをビールと食べつつ、そっと息を吐く。
元彼が居た時は、ビールとご飯は合わないからと言って、どちらか片方しか食卓に並べなかった。
私は欲張りなのでどっちも味わっていたかった。けど、まあいっか、とその声を忘れた。
悪いこととは言わないが、今思えばその思考はちょっと健康的じゃなかったように思う。
梅雨入り、じめじめした空気に耐えかねて、エアコンを入れてしまう。
今はとりあえず、私は私のやりたいように。