食べ物と私

食べます。

そのピザは誰のもの

最近よく実家のことを考える。

 

届いた段ボールを開け、野菜を取り出す。

いつもの手紙。お菓子。お米。素麺。大きな大きなタッパーに入ったスイカ

イカはどちらかといえば嫌いなんだけれど。

 

最初の頃は農家をしている祖母に電話でお礼を言っていたものだが、最近はそれも無くなった。

しなきゃいけないとは思う。したいとは思わない。

血縁関係は不思議だ。孫ってどういう存在なんだろう。

 

帰省の日程が決まって、友達に連絡を入れた。

私にとっては大事だと思ってる子。

向こうにとってはどうなのか分からないけれど。

 

いつ頃かを境にトマトケチャップをつくるようになった母。その残骸が二つ、段ボールに入っていた。

ナスとトマトとそのトマトケチャップを使って、ピザを作ろうと思った。

 

スーパーで買った生地にクリームチーズを塗り、その上からケチャップ、ひき肉とナスを炒めたソース、ナスとアスパラ、トマトとチーズをトッピング。

焼き上がったら追加で生ハムを乗せる。

 

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思いの外美味しそうに出来た。

いや、多分かなり美味しい。

少しテンションの上がったまま、熱いピザをパクリ。

全体的に優しい味だ。健康的なジャンクフードみたいな味がする。

野菜はごろごろしていて、食べ応え抜群。チーズがクリスピー風の生地に合っていて美味しい。

 

このピザの半分くらい、仕送りで出来たものだ。

なのにちょっと実家に帰りたくない私は、会いたくない私は、親不孝者だろうか。

けど別に、親が親自身より私を大切にしてくれるようには思えない。

 

何だろう。寂しいんだろうか。

 

孤独感が強くなっているのは、多分引きこもる時間が増えているからだと思う。

この頃ちょっと書くこともおざなりになっていて、良くない時期ではあるような。

 

多分そこまで重度じゃない。

重度じゃないし、耐えられるし、耐えるしか術はない。

けど、時々、こういう時になりふり構わずに、誰かに何か言えたら良かったと思う。

 

自分のためだけに夜、電話をかけてみたい。

怒鳴り散らして怒ってみたい。

取り繕わず、あけすけに全部話してみたい。

体の反応じゃなくて、自分の意思で誰かに涙を見せてみたい。

誰かに私を預けてみたい。

預けられる安心感が欲しい。

幸せでいたい。

 

全然叶わないな、なんて。

これまでも、これからもずっときっと私は変わらないままだ。

もうそれでいいと、いっそ芯から諦め切れたら、ちゃんとこの心臓だって止められるんだろうけど。

 

半分の呪いでできたピザ。

四分の一だけ冷蔵庫にしまった。