食べ物と私

食べます。

嫌な記憶にはちみつれもん

高校時代の夢を見た。

久しぶりの試合で、スコアを上手く書けないでいるうちに取り上げられる。

過去の夢というか、なんとなく覚えがある。

 

上手く書けない私が悪いのか、酷い態度をとるその人が悪いのか。

 

現実の時はそれがあんまり分からないでいたけど、夢の中で私はちゃんとその人を嫌悪していたし、私自身の悪い所とそうじゃないところを区別できるようになっていた。

後輩もいて、目を見合わせてその人を嗤ってみたり。

 

ねっとりした、随分な目覚めだ。

まだこんな夢を見てしまう自分はかなり執着に汚いし、多分何も許せていないんだろう。

 

冷蔵庫の中、冷たいタッパーを取り出す。

二、三日前に皮ごと食べられるレモンが売られていたから、作ってみたはちみつレモン。

 

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爪楊枝で摘んで口に運ぶ。

さわやかな苦味と、甘酸っぱい果汁。レモンの香り。

私はレモンが好きだし、はちみつレモンも好きだった。

それにマネージャーといえば王道かな、なんて思って、その頃も差し入れに作っていた。

 

なんだかんだ言っても、その人が居なくなってからはとても楽しい場所だったのだ。

だからと言って一年間の苦しさがチャラになるかと言われればちょっと別の話だけど。

 

このはちみつレモンだって、その人は苦いとか酸っぱいとかからかってきたけど、その人以外は美味しいと言ってくれたし、その人のことを糾弾してくれた。

 

そんなあの人は保育士になるため大学に、しかも推薦で合格していた。

本当に気持ちの悪い世の中だと思うし、それでも彼女は数多い害虫のたった一人なのだ。

 

あの人は、あらゆる意味で私より可愛くなかったあの人は、今どうしているんだろう。

あの甲高い声で、白いだけの汚い手で、子供に接しているのだろうか。

 

かなり前にSNSは追いかけなくなった。

だんだんと呪いは解けてきているのに、たまにこうして頭を擡げてくる。腹が立つ。

その人の誕生日を覚えているのだって、なんだか勿体無い気がするのだが。

彼女はきっと私のことなんて、これっぽっちも覚えていないと思うのに。

 

色々なことに囚われていると思う。

多分脳が違っていれば、素直に受け止められることもあったはずなのに。

夢ごときで思い出して、燻って。

しょうもないやつだなって、また笑ってみるけど。

 

タッパーをしまう。

レモンが上手く浸かったから、あとは食べるだけ。

これはあの頃のレモンじゃなくて、今の私のためのレモンだ。

 

今度ソーダ水を買って、レモネードでも作ってみようと、そう思う。