食べ物と私

食べます。

朝ご飯みたいな夜食みたいな朝ご飯

午前四時。

眠れなかった。いや、もう途中から諦めていたが。

ついついとスマホをいじりながらどうしたものかと頭を悩ます。

雨続きでドライに切り替えた冷房が冷たい。

 

睡眠はしなければならないとは思っていないが、確実にリセットにはなるので、少しの時間でも意識を失いたく思う。

でないと文章の整合性がなくなるから。

 

しかし、無理やり寝ようとすることほど無意味なこともそうない。

眠たいなぁ。寝ればいいのに。眠れない。

うだうだ考えつつ、ぐるると鳴るお腹を抱えてキッチンに立つ。

 

寝るのが無理ならせめて何か食べてしまおう。

この時間はもうどちらかと言うと朝ご飯である。

 

卵を一つフライパンに割り入れる。

何だかとってもカロリーを取りたかったから、食パンにはバター、マヨネーズ、そしてチーズだ。

 

私の好きな本に『九つの、物語』という小説がある。橋本紡さんの作品だ。

橋本紡さんの書くお話にはいつも美味しそうなものが出てきていて、私もとても幸せになったり満たされたりするのだが、その小説の中でクロックムッシュを作る場面があった。

しかもちょっと危うい時間帯だったような。

 

そんなことを思っているうちに焼きあがる。

トースターの音が響いて申し訳ないと思うけど、まあそれくらいは許してほしい。

 

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結構美味しそうだ。

何だか目玉焼きを作るのさえ久しぶりな気がする。

大きく一口頬張れば、とろりとしたのはチーズかマヨネーズか。

じゅわりとバターも染みていて、どっしりとお腹に溜まってくる。

暖かくて、美味しい。カロリーは暴力的なのにホッとくる。

 

段々と明るくなってくるカーテンの外。

まだ寝ていない証として、コーヒーは何となく自重する。  

 

こうして起きっぱなしでいると、時間の流れがきちんと手に取るように分かる。

時間すら人間の定めた決め事の一つでしかないように思えてくる。

 

今日と明日との境目なんていつだって曖昧だ。

 

好きな時に寝て、好きな時に食べて。

そっちの方が動物らしくて可愛いと思うのだけれど。

人間はどろどろしているくせに、変に理性的だと思う。

少なくとも、気負う必要は何もないのだ。

 

お腹がいっぱいになったからか、ちょっと微睡が訪れる。

皆が起き出す頃に、きっと私は眠ってしまう。

なんならずっと起きておきたい気もするけれど、寝不足の頭痛は大嫌いなので、眠気に身を任せたい。

 

数時間後目覚めた時、気が向いたらクロックムッシュの話だけでも読んでみようと思いつつ、私は毛布にくるまるのだった。