食べ物と私

食べます。

繋がっちゃってるからさ

少し前に、上手くオムライスができた。

ここ最近は卵で包む、なんて一手間がとてつもなく面倒だったのだが、なんとなくこういう「ちゃんとした」オムライスが食べたくなってしまったのだから、仕方がない。

 

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見かけよりとろとろした卵で、大量にかかったケチャップも相まってするするとまるで飲み物のようにオムライスは喉を通っていった。

つまりは、まあ、美味しかった。

 

それにここまで上手く可愛いオムライスが出来たのも珍しくて、私は多分ちょっと嬉しかった。

誰かにこのオムライスを見てほしいと思うのも必然で。

 

リア友しかいないSNSに、適当な文章をつけてアップした。

すると、長く疎遠だった友達からメッセージが届いた。

 

何でも数年前、彼女を家に招いた際、同じように私はオムライスを作ったらしい。

それを思い出して懐かしくなったのだと。彼女はわざわざ私にそうメッセージを送ってくれたのだ。

 

最近は夜が暗くて、暗すぎてあまり眠りたくない日々が続いている。

 

考える。

これからの私と、世間と、世界と、刹那的なこと。

 

何のために、なんて考えたら駄目なことは分かっているのに、私のぼんくら頭は余計な事ばかりに走ってしまう。

何ひとつ上手くいかなくて、折り合いをつけられなくて、ずっと私はどうしたらいいのか分からない。

 

こんな私を私でさえ救えない。

だから私は誰も救わないし、皆も私のことを救わない。

 

時々その大きすぎる事実に絶望しそうになって、揺蕩うみたいに死にたくなる。

現実のこと、どうでも良くなってくれないことが全部無意味に見えて、心臓が動いてるだけ、みたいな。

 

物理的に死ぬには恐怖心が大きすぎるし、与えてしまう影響だって免られない。

けれど、概念としての私は無くなる事ができるんじゃないかと、そんなことを考えた。

 

もし、少しずつこの四角くて小さな画面から人の名前を消して。

もし、少しずつ家から出なくなって。

もし、突然誰にも何も言わず何処かに引っ越せば。

 

皆、私を忘れて、私を知られないまま。

そうやって私は私を殺せるんじゃないかと。

 

でも、彼女は、私が忘れていた一度の食事のことを、こんなにもきちんと覚えていた。

メッセージを送ってくるほどに。

 

つくづく、恥ずかしいことばかりだ。

勝手に居座って、胡座をかいているような感覚。

己の浅ましさに死にたくなる。

 

無くならないのか、と思った。

きっと、まだ手垢みたいに色々な人のところへ私の記憶があるんだと思う。

それはどんなに掃除しても取れることなんてなくて、言ってしまえば生まれた時点で、樽いっぱいのワインに落ちた一滴の泥水になってしまっていて。

 

ああ、もう。嫌になっちゃうな。

 

明るい蛍光灯の下。

パソコンの音が響いていて、紙を捲る音だって嫌いになってしまいそうだった。

 

明日っていつなんだろう。

ちゃんと家に帰ろうと、そう思う。