コンビニでご飯を選ぶのに時間がかかる。
もちろん、既にあるものですら手をつけることが難しいのに、自炊なんて出来るはずもない。
思えば病院へ通い始めたのは去年のこの頃だった。
多分、冬の寒さのせいだと思う。環境が良くないのだ。
そうやってまた何かのせいにして少し逃げてみたりもする。
11月12日。
推しの誕生日だった。その時はしっかりパンケーキを焼いていた。
はちみつも私と同じように寒さに弱い。
白く凍ってしまっていたが、バターと一緒に溶けてくれる、これはこれで美味しかった。
こうやって何か少し元気をもらえることがあれば、きっと身体も動いてくれるんだろうけど、何せそれが難しい。
考えてみれば文章を書くきっかけになったのも推しが原因だ。
おかげで昔では考えられないような体験だって沢山した。ありがたいことのようにも、怖いことのようにも思う。
人間は比較してしまう生き物だ、なんて擦り倒されたセリフが頭に浮かぶ。私は人間だ。
小さい頃から周りと比べてどうなのか、という議題は私の中で強くあった。
劣っているのが恥ずかしくて、下を見るたびに安心した。
でも優秀なことにすぐ浮かれてしまい、それもそれで恥ずかしくて。
頑張って説き伏せてはいるが、趣味の範囲でもきっと少し、気にしてしまう部分はあるのだと思う。
自分以外が見えなくなれば、それでいいようにも思う。
たとえばパンケーキにぬったはちみつが白いことだって、白くないはちみつを知っているから可笑しく感じるもの。
比較しなければ違和感もきっとなくなる。
劣っていることも怖いが、浮かれて天狗になってしまうことが一番怖い。
けれど褒められた時に出るドーパミンは自分じゃ制御できない。多分酒やセックスよりも気持ちがいい。何も考えられないまま、病みつきになってしまう。
比較対象を全部消すなんてことは不可能だ。
それこそこの星に何かが降ってきて、全部無くなってしまえば話は別だろうが。
とにかくそんな奇跡は起きっこないので、私は今日も何を食べたらいいのかわからないまま、ベッドで一日を過ごすのだ。