ミートソースパスタが食べたい。
何となく朝ごはんを食べ損ね、ついでに昼ごはんの時間も過ぎてしまった飢餓状態の私はふと、そんなことを思ってしまった。
ずっとキーボードに向かっていたが、そう思った途端、急激に腹が空いてくる。ほぼ緊急事態だ。
コンビニに買いに行った方がいいのかもしれないが、きっとそれでは満足しない。
気付いた時には私は玉ねぎを刻み、冷凍庫にあった牛肉のミンチを解凍し始めていた。
パスタと言えば、Youtuberの『にゃんたこ』さんを思い出す。
何の具も入っていない虚無スパゲッティ。私も大学時代お世話になったなと思う。
特に私は酔っぱらったらお腹がすくタイプだった(今は割とそんなこともないのだが)。そんな時に茹でるだけ、短時間で食べられるパスタはめちゃくちゃにありがたかった。
誰も見ていない六畳一間で、ラーメンのようにパスタをすすった。
そんなことばかりしていたから、ついにお店でパスタを食べるのは勿体ないような気がしてしまう。
そういえば、にゃんたこさんのエッセイをまだ途中までしか読めていない。早く読まなければと思う。
パスタと言えばもう一つ。
「パスタ料理が得意という女は自意識過剰」というどこかのテレビ番組の言葉がなぜか鮮明に残っている。
そう言った人も根拠も理由もよく憶えていないが、うざったいなぁと思う記憶の一つである。
受け流せばいいものを、小さい頃に目にしたからかこういう余計な言葉だけ抜け落ちてくれないのは何となく癪だ。
最近はテレビを全く見なくなってしまったが、あんまり必要ないかもなとも思ってみたりする。
ケチャップと中濃ソースで味付ける。ぶっちゃけミートソースの正当な作り方を私は知らない。けれどこの二つが間違なく美味しいことを知っている。
少しゆで過ぎてくったりしてしまったパスタ。
うちはIHコンロがひとつしかないので、パスタを茹でる時は沸騰した湯に全体を沈めた後、蓋をして火から降ろすという形をとっている。その間にソースを作るのだ。
放置する時間が難しいが、これでもきちんとゆで上がる。ちなみにこれは何らかの漫画から得た知識である。
のびたパスタを隠すようにたっぷりとソースをかける。空っぽのお腹に視覚的な暴力だった。
ここに普通は粉チーズなのだろうが、今回はシチューを作った時のモッツアレラチーズが余っていた。贅沢にも散りばめる。パセリで彩れば完成だ。
案の定少し柔らかめの麺だったが、問題ない。
ミートソースも溶けかけのチーズもめちゃめちゃ美味しくて、がっつくようにしてパスタを胃へと流し込んだ。
求めていた味は私に元気をくれる。それでなくとも、今日初めてのまともな食事だった。
次はもっと味わえる時にじっくり作ろう、と、一人前のパスタを平らげた皿を見てそんなことを思うのだった。