食べ物と私

食べます。

縁、ローストビーフ。

友人Iと遊ぶ。

何だかんだ間が空いて、会うのも話すのも久しぶりだと思った。

 

寝たり起きたり、食べたり飲んだりしながら時間は進む。それでもいいと思えた。

現実だったりフィクションだったりする話の中、不意に訪れたのは人肌の話。

 

恋愛がよく分からないと思う。

というより自分が何を思っているのか、正直よく分からなくなる時がある。

 

どうすれば人が喜ぶのかは何となく分かる。

かけて欲しいだろう言葉、やって欲しいだろう行動、欲しているだろう気持ち。

 

それを汲んで、その通りに動いたりする。

でも、それは私がしたかったからじゃない。

多分、汲み取ったらそう動かなければならないと、私はそう思っているのだ。

機械仕掛けの人形のようなものだった。

けれど、やはり人は喜ぶ。

 

私だって過去に五年付き合ってきたが、私は本当に彼のことが好きだったのだろうか。

 

幸せだと思った。好きだと思った。

多分、間違いではない。けれどそこに盲信がなかったかといえば、そうじゃない。

 

幸せだと思った。だからこそ全部を好きになりたかった。しようとした。

 

でも、出来なかった。出来なかった。

 

見ないふりをすることは得策じゃないと分かってはいても、見ることは辛かったから。

人と向き合うってことは自分を見るってことだから。

私には何もないことなんて、私が一番知っているのに。

 

そんなこんなで機械仕掛けに飽きてしまって。

自分の思い通りに行動することがちょっと私の中で必要になってきたのだ。

 

夜7時。友人Iはご飯を炊いて、ローストビーフを解凍してくれて、どんぶりを作ってくれた。

 

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タレがたっぷりかかっていて、肉は柔らかくて。

牛肉を食べるなんて随分久しぶりだと思った。

それに、そんじょそこらのローストビーフ丼より肉も多かったような。

 

聞けば、このローストビーフは元彼が持ってきてくれたものらしい。

縁を切ったからってローストビーフが食べられなくなるわけじゃないと、友人Iは笑って言った。

 

自分にとって有意義なこととそうでないこと。

搾取なのか愛なのか。

誰のせいで誰のおかげで、返すべきものは何なのか。自分はどこまでやらなきゃいけないのか。

 

そういう打診は、結局は自身を蝕んでいくものだと。ここ数年で何となく理解したことだった。

 

でも、私の意見に私は責任を持てない。

だって最近は何もしていない私に対し、彼女は迷いながらも立派に進んでいるように思えたから。

 

帰り道、少しつらいなと思う。

どこに立っているのか分からないのだ。

誰も知らない私になれたらと思う。