「気にしないでいいんです、人の物差しで測ったって、結局は全員死にますから、意味なんて無いんです」
「目の前のことだけ考えればいいですよ、お茶碗洗うとか」
「他人が高く見えますけどね、道のりを楽しめばいいんです」
そんなことを言われた午前中。
2週間に一回通っているあそこの主の声は聴き取りずらい。
けどちょっと狸に似ているその人の言葉はいつも優しい。
誰かを崇拝しすぎるのはやめた方がいいという言葉はスナフキンのもの。
仕事上の常套句なのだろうが、それでも気が楽になるのは確かだ。
せっかく早起きをしたのでパソコンを持ってコメダ珈琲店に向かう。
目の前の出来ること。今日はある試みを頑張ろうと思っていた。
ぎりぎりモーニングに間に合って、卵ペーストを乗せたトーストを頬張りながら、大きな銀のカップでアイスコーヒーを飲む。
人の少ない朝。
ブルーライトカットの眼鏡をかけて、パソコンの電源を入れた。
挑戦したいこと、というのは一次創作である。
最近は推しばかり書いていたから、ちょっとここいらで自分の話を書いてみようと思ったのだ。
下書きは出来ているから、文を肉付けしていく。
自分の話を書くのは、想像以上に削られるものがある。
どの投稿サイトでも何人の人が閲覧したか分かるからだと思う。
以前狂ったように書いていた連載形式の小説は、閲覧数0が続くうちにやめてしまった。
7万字の下書きは今も消せないまま、下書きとして残っている。
2時間くらい作業して、疲れてきたので呼び出しボタンを押す。
コメダに来たのは、ちょっと食べたいものもあったからなのだ。
シロノワール、和香。
見た目からしてどっしりと甘そうで、とてもとても美味しそうだ。
切れ目が分からなくて四苦八苦しながらも一口サイズに切り分けて、口に運ぶ。
大豆の味に、黒ゴマの風味。上品な甘さに冷たいソフトクリームが心地いい。
ぱくぱく食べ進めつつ、佳境に入った小説を考える。
この話は短編だ。書きたいものが伝わっているのかはちょっと分からない。
でも、二次創作を知ってしまった今、私は色々なことを気にしてしまう癖が出来たから、とりあえず完成させて、UPする。
これが私の今やるべきことだ。
甘いご褒美を食べ終わり、作業を再開させる。
閲覧を気にしないとはいえ、これが完成した暁には恥ずかしげもなく、持ちうるアカウント全部に掲載しようと思っている。
基本的に私のために書いている小説だが、評価はさておき誰かに届けたいと思って書いていることもまたしかり。
というわけでここにも最後、記しておく。
zenryoku-shohi-souko.hatenadiary.com
いつか放置した7万字の小説の続きを書いてあげたいな、なんて。