オクラの料理方法をあまり知らない。
下処理の方法をネットで調べて、ジョリジョリと塩を纏わせて沸騰したお湯に入れる。
引き上げたら、ついでに大量にあったさやいんげんも茹でてしまう。
さやいんげんなんて、もっとレシピが浮かばない。
精々ハンバーグの下に敷いてある程度だと思っている。
とりあえず分からないことは後回し、とさやいんげんはそれなりの大きさに切って冷凍しておく。
それより今日の晩御飯だ。
山芋を擦って、とろろを作る。
オクラはネバネバしたものと合わせるのが一番いいのだ。
温泉卵も作ってしまう。
あと、冷蔵庫に眠っていたなめ茸も。
準備が全部整ったら、そうめんをちょっと悩んでふた束茹でる。確かひと束では足りなかったはず。
そうめんを食べるのは一年ぶり。何ならこのそうめん自体も去年のものだった。
熱い鍋の中、ぐつぐつ溢れそうになるそうめん達を見ながら夏を感じる。
野菜が送られてこなければ、そうめんが追加で送られてこなければこんな食事もしなかったので、強制的に訪れた夏と言ったところか。
茹で上がったそうめんをしっかり冷水で締め、先ほどの具材達を盛り付けていく。めんつゆと、ついでに青紫蘇も。
鬼滅の刃で炭治郎が食べられなかった山かけうどんを思い出して食べたくなった。そうめんを前にうどんに浮気だ。
そんなこんなで完成、ねばねばそうめん。
ずるずると擦ってみれば、細かい麺にめちゃくちゃとろろが絡んでいる。そうめんを啜っているのか山芋を啜っているのか分からない。
思ったより味が薄かったので、適宜めんつゆを足しながらずるずると食べ進める。
正直、正直こんなに美味しそうなのに味は微妙だった。
これ、うどんや蕎麦なんかでやれば美味しいんだろうな、とちょっと遠くを見ながら思う。
同じ麺なのにやっぱり何かが違う。
もしかすると、私はそうめんがあまり得意ではないのかもしれない。
新たにそんな気づきを得るものの、もうどうしようもない。ふた束湯がいてしまったのだ。
しかも、山芋を計算に入れてなかった。
ほぼ液体とはいえ、あいつは芋。どんどんお腹が膨れていく。
ちょっと休憩を挟みつつ、一人しかいないこの部屋で死にそうになる。もうめちゃくちゃにお腹がいっぱいなのだ。
他のものなら冷凍できるが、茹でたそうめんとなるとそうはいかない。
どうにかこうにか食べ切って、重い瞼をこじ開ける。なんだか一人で馬鹿みたいだ。
まだオクラもとろろも残っている。今度食べるときは絶対にそうめん以外のものでやろうと心に誓うのだった。