食べ物と私

食べます。

赤い宝石

実家から仕送りが届いた。

夏に急遽帰省してからの私、年末に帰らない私を心配してか、それはそれは大量の仕送りが。

 

仕送りをする時、大体いつも母から「何かいる?」とのラインが届く。

要らない時は素直にそう答えるのだが、それでも何度かメッセージが続く時は、適当に欲しいものを答えている。

今回はブレンディのスティックタイプのコーヒーをリクエストした。

 

私はほんの二箱くらい貰えればいいや、という気持ちだったのだが、何やら大きな段ボールの中には大量のみかんとせんべい、五つのりんご、お菓子などなど、とにかく色んなものがぎっしりと詰め込まれていた。

コーヒースティックに至っては五箱くらいあっただろうか。

大袈裟だな、思う反面、きっとありがたいんだろうとも思う。

 

そして、その中でも大事に大事に梱包されていたフルーツが一つ。

 

赤い宝石。いちごだ。

 

これは素直に嬉しかった。

いちごはそれなりに好きだが、「それなり」で買うには手の届かない値段だから。

 

どうせ私のことだ。このまま冷蔵庫に入れていたら腐らせてしまう可能性だってある。それだけは絶対に避けたい。

 

寒さに凍えつつ、いちごのためにキッチンに立つ。

怠惰な私だって、すぐに食べられる状態であればたくさん食べられるのだ。

 

いちごをパックごと優しく洗って、包丁でヘタを落としていく。

消費期限、短くなっちゃうかな、と思いつつ、どうせすぐになくなるからいっか、と思い直す。

ヘタなんか食べる時に取ればいいものを、私は私に対して酷く過保護なのだ。

 

ヘタをとって、まんまる帽子になったいちご達を、今度は一つずつ丁寧に拭いていく。

水分は良くないと聞いたような気がしたから。

 

可愛い可愛い宝石達がボウルいっぱいにつまっていく景色は、幸せそのものだ。

 

f:id:zenryoku_shohi:20211222100000j:image

 

早速ひとつ、つまみ食い。

果実らしい食感と、甘酸っぱくジューシーな味が口いっぱいに広がる。

いちごは一粒でこんなにも嬉しい。

 

うきうきともう一つ食べながら、きっとこのいちご達もこうして生で全部食べきってしまうのだろうな、と思う。

 

いちご飴にいちごジャム、いちごタルト。

 

いちごで作ってみたい料理は割とある。

しかし、そんなことはないと分かってはいても、やっぱりこのツヤツヤのいちご達を加工することに、どこか抵抗があるのだ。

 

いちごは素顔でもべっぴんさんだ。手を加えるには、ちょっと勿体無いような気がしてしまうほど。

 

それでも大量の暖かなジャムに憧れているのも確かなので、いつかきっといちごジャムを作ってやろうと、目の前の宝石をまたひとつ口に放り込むのだった。