その友達に会ったのは夏の終わりぶりだった。
綺麗なストレートの髪を肩より少し長いあたりで切り揃えて、白い肌の彼女はそこに立っていた。
都会の喧騒の中。ふらふらと街を行く。
目的のものをすぐ食べにいく予定だったのだが、友人iがのちに合流するとのことなので、少し暇を持て余す。
適当なレジャーショップに入りつつ、近況を聞いていく。
私は特に大きく変わったことはなかったが、彼女の変化は大きかったようで、新しい姿が多く見えてきた。
その様子に喜んだり共感したりしつつ、どこかに入ろうという話になった。
都合よく近くにあった喫茶店。
「とりあえず」入るにしては豪華すぎる、情報に疎い私でも聞いたことがあるような有名なお店だった。
彼女とは大学からの付き合いだった。
出会うのが二十歳前後の歳で良かったと思う。
大学以前に出会っていたら、絶対に関わっていなかったであろう人だから。
私から見て、彼女は酷く強い半面、それに負けないくらい脆かった。
何も捨てきれず、認められず、かと言って自分の声を全て無視できるわけでもなくて、コントロールが効かない。
自分が自分でいるための能力に優れていて、どこか生きづらそうな人。
いわゆる、同じ穴の狢だ。
薄暗い店内で名物のものではなくて、お腹を満たすためのものを頼む。
店員さんは注文を暗記して作り始めるようで、私には到底無理だと感じた。
どこか厳かな空間。
可愛いフォルムのクリームソーダ。
一口吸うと、シュワシュワと爽やかなサイダーが喉を通る。なんだかひどく繊細な味がした。
ケーキは思ったより軽く、いちごが効いている。
ゆっくりと食べ進めつつ、歩きながらでは話せなかった、起こったことを話していく。
半年間、色々なことがあったが、何だか私はどこにもいないように感じた。
きっと私も本質的には彼女と同じなのだろう。
だけど、私は激情に耐えられない。
自滅を繰り返すことに疲れてしまった。
だから考えないようにする術を身につけた。
出来るだけ己を殺せるように、出来るだけ誰にも呆れられないように。
それが良かったことかどうかは、全く分からないけれど。
失敗でさえもそうとせず、意気揚々と語るしかない彼女。
彼女が一番傷つくことだと分かっていながら、少しだけ同情の色を混ぜて、向かい合わせの彼女を見る。
自尊心や自己愛。
そんな沈下な言葉にがんじがらめになりながら、プライドのことを格好いいと、私はまだ思えずにいる。