食べ物と私

食べます。

どたばたバイバイ、フラペチーノ

実家から帰る。

こう考えてみると短い帰省だったように思う。

色々と連れ回されてくたびれたような。


そんな理由もあってか、私は帰省の際に寂しくなることがほとんどない。

また一人で洗濯をしたり料理をしたりする日々が始まるなのだなあとぼんやり思うくらいだ。


しかし、今回ばかりはそうはいかない。

何せ帰ったら色々とやらなければならないことが渋滞しているのだ。

逆に言えば帰らなければ出来ないこと達だから、実家にいる間は焦らないでよかった。


ちょっと憂鬱になりながら、母の車で駅まで送ってもらう。

基本的に一人が好きなのだ。こんなにも帰りたくないと思ったのは本当に初めてだった。


コンビニでお昼ご飯を買って、せっかくだからという母の誘いに乗り、駅にあるスターバックスに足を運ぶ。

なんだか冷たいもの、そしてサッパリしたものが飲みたい気分だった。


スタバではいつもこってりしたものを頼む私。

なぜだろうと考え、暑いのだとコートを脱ぐ。


身に纏っていたのは今回の帰省中に買ってもらったワンピースにコート、靴。髪は妹にセットしてもらったものだった。

気づけば帰省して1週間。小さな間に季節は随分と色を変えていた。


スタバで並んでいると思いの外ギリギリの時間になってしまい、滑稽にも急ぎ足でホームへ向かう。

母との別れもバタバタと済ませてしまい、そのまま慣れた順路の階段を上がった。

ホームに出れば、自由席の車両にたどり着く前に新幹線の頭が見え始める。ギリギリセーフだ。


まだ学生も春休みに入っていない、微妙な時期。

自由席はがら空きとまでは行かずとも、並ばなくても席を確保できる余裕があった。


3人席の一番端に腰掛けて、買ってもらったサンドイッチ、マンゴーフラペチーノを置く。

新幹線の中、写真の手ぶれはどうしようもなかった。

 

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紙のストローでフラペチーノを吸うと、冷たくて爽やかな味が喉を抜けていく。

サッパリしているもの、求めていたものだ。

レタスサンドもレタスが活き活きとしていて美味しい。少し辛めなマヨネーズがアクセントになっている。


日差しの強さに負け、窓を閉める。

過ぎ去る風景と、ここ1週間の記憶たち。

そして頭を擡げる、これからの不安、焦燥。


危惧してもしなくても、色々な物事はなるようにしかならないことなんて、私はとうの昔に知っている。

なのにいつだって焦って、困って、回ってしまう。

どこにいても結局は、何かに追われているような気がしてしまう。


次にここを通る時、私はまた少し、どこかかきっと変わっている。


ひとつ席を開けて、隣に人が座ってくる。

新幹線からはもう降りられない。