食べ物と私

食べます。

新しい顔、ツナサンド

私にとっての初めの日。

いつもの場所に行くと知った顔に加えて、知らないメンツ。

思ったよりも数が多くて驚いた。

同時になんだか緊張してしまう。

本来緊張するべきは私ではないのだけれど。

 

一年前のあの日とは違った、柔らかい説明で場は進んでいく。

いや、もしかしたらあの日だって、このくらいの優しさで物事は進んでいたのかもしれない。

あの日は多分、今よりも緊張していた。分からないこと、知らない人しかいなかった。

 

だから余計、言葉が厳しく感じてしまったのだろうか。

だから余計、ここで生きていけないと感じてしまったのだろうか。

 

高らかに自己紹介をすれば、今日の仕事は終わった間同然だった。本当にそれだけだ。

しかし、どうにも今日は疲れてしまった。

 

この後ご飯に行くという同期の誘いをやんわりと断り、帰路に着く。

嫌だったわけではないのだ。

むしろ誘ってくれたことは嬉しかった。

けれどそれ以上に、私は疲弊していたのだ。

 

断ることが出来るのも私の能力だと言いきかせながら、春の寒さに自転車を走らせる。

人が多い場所では無条件に神経を使ってしまうのだと思う。

一人の帰り道は抜け殻のようで、でも心地は楽だった。

 

家に帰って、冷蔵庫を開ける。

ここで何もないとまたへたり込んでしまうけれど、私はちゃんと私のために用意をしていた。

 

野菜もタンパク質も摂れて、疲れ切った体でも手軽に食べられるもの。

お得意のサンドイッチだ。

 

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具はツナに卵サラダ、キャベツ。

いつもより少し手間のかかったサンドイッチだと思う。

 

大きな口を開けて一口頬張ると、シャクシャクのキャベツ、まろやかな卵サラダ、マスタードの効いたツナマヨが嬉しそうに口の中で飛び跳ねる。

美味しい。ちゃんと、美味しい。

 

そのまま私は貪るようにサンドイッチを食べた。

少し硬くなったパンは噛みごたえがあって逆に良かったのかもしれない。

何かを考える余裕は無かった。

ただ食べて、もう眠ってしまいたかった。

 

空っぽになったお皿を眺めながらぼうっと宙を見る。

スマホをいじる気力もない。当然、立ち上がる気力も。

またこういう毎日が続くのだろうな、とぼんやり考えた。

 

別に大したことはしていないけれど、環境が変わるとその分体力を使う。

精神的な脆弱性のせいで、いつだって私は生きづらい。

だからって嘆いてもどうにもならないことは、私が一番よく分かっているのだけれど。

 

ふと、今頃ご飯に行っているだろう同期達の風景が頭の隅に浮かんだ。

次に誘われた時は、私が元気だといい。