食べ物と私

食べます。

祭りの香りとコンビニきゅうり

思った以上に家の周りで祭りが開催されていた。

朝出向く時かれいつもの道は通行止めになっていたり、まだ無人の屋台が立ち並んでいたり。

 

最近はタピオカの屋台もあるのか。

きゅうりの浅漬けって何であんなに美味しいんだろ。

 

そんな取り留めもないことを考えつつ一日を終えた。

どうやらこの地域に住む人にとってはかなり重要な祭りのようだ。

引っ越してきて少ししか経たない私じゃ想像できないくらいの熱気。

 

帰り道、家が近づくにつれて人が多くなってくる。

浴衣を着ている人、何かの景品だろう剣を持った子供、抱っこされてる赤ちゃん、道ゆく人に声をかけてビールを売る人。

 

特別感がマシマシで楽しくなってしまう。

非日常の楽しさを久しぶりに思い出したような気がした。

 

そして私は流されやすいのが性格における一つの特徴である。

そのまま家に帰る予定だったけど、朝見た屋台だけちょっと寄ってみようか。

 

そんな気持ちで少し、ほんの少しだけ足を伸ばした。

そして、すぐに逆戻りした。

 

考えが甘かった。

屋台にたどり着く前に、もう自由に動けないほどの人、人、人。

そういえば私、人混みが苦手だったんだ。

 

とはいえ家に帰っても食べ物がないのでスーパーに行こうとするも、そちらも尋常じゃないほどの人。

きゅうりの浅漬けとビールで祭りっぽく楽しもうかなーなんて思っていたのが嘘のよう。

 

結局来た道を戻り、いつものコンビニでビールと、やっぱり諦めきれなかったきゅうりを購入。

しかもそのコンビニだって人混みだらけだった。

何だかちょっと情けない。

 

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蓋を開けるときゅうりの匂いが鼻を掠めた。

一つ摘んで食べてみる。

浅漬けではないが、あとからピリリと追ってくる辛さがアルコールを進ませる。

グビグビとビールを飲みつつ、窓の外の喧騒に耳を傾ける。

 

私だって、夏祭りが好きだった。

 

今こそこんなザマだが、中学校、高校くらいの頃は私の中で夏祭り全盛期だった。

部活が祭りの日にかぶってないことを確認したり、母に頼んで浴衣を着付けてもらったり、まだその頃はしていなかったメイク、マニキュアをしてもらったり。

 

楽しかったと思う。あの頃は。

なのに、いつからかそんな気力も無くなってしまった。

それが老いなのか、飽きなのか、はたまた別の何かなのかは分からない。

 

ちょっと寂しくなりつつ、ポリポリときゅうりを齧る。

体力や気力は無くなった。

でも、まだ祭りの空気を楽しめているだけ、まだ私は夏祭りが好きなのだろう。

 

失うばかりの人生で、そういう気持ちは見失わないようにしたいけれど。

 

ビールを飲み干す。

祭りはまだ、続いている。